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テコンドー

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第3回

韓の寺々を巡って 3(三宝寺院 松廣寺)

  『篤く三宝を敬え 三宝とは佛法僧なり』
仏教の理念を基本として、中国(隋)、韓国(百済)に習って国造りを目指した聖徳太子が、我が国最初の憲法と云われる十七条憲法の冒頭に掲げた有名な一句である。 『三宝とは佛・法・僧』であり、佛とはブッダ(佛陀、覚者=覚りをひらいた者)、法とはダルマ(永遠の真理、理法)、そして僧は、サンガ(僧伽、つどい)を指すのであるが、韓国には、この三つの仏教の根本理念をそれぞれに表す代表的な大寺院として、通度寺(佛)、海印寺(法)、松廣寺(僧)という三つの寺がある。



2008年の春(三月)、大韓仏教曹渓宗・仏教文化事業団と韓国観光公社によって制定された『韓国三十三観音聖地』の事業に協力するために、年の瀬が迫った十二月八日から十一日まで、韓国観光公社からの依頼で三泊四日、初めての視察訪韓の旅に出た。その際に、さまざまなご縁で深い関係をいただいている曹洞宗前管長・板橋興宗禅師(福井県越前市・御誕生寺現住職)から「釜山へ入るならば、衲が現職管長の時に訪韓した際、大変世話になった観音寺のご住職を訪ねてくれないか」との依頼を受け、訪韓初日、夕闇迫る釜山市街地の観音寺を訪問したのである。


挨拶を終え、板橋禅師さまからのご伝言を伝え、今回訪韓の意図を告げて話しが進むにしたがって、観音寺のご住職(知玄スニン)が翌日訪問を予定していた松廣寺と単に繋がりがあるだけではなく、松廣寺・律院の責任者(院長)という重席を務める人であることが判明し、翌日の松廣寺訪問に関して、充分な配慮の連絡を入れていただける次第となった。結果、松廣寺でのテンプルステイでは前住職・法興宗師の居室に泊めていただき、極めて丁寧な接待を受けることができた。以後今日まで、一年足らずの間に十回にわたった視察訪韓で、何度か観音寺を訪れ、互いの親しさが増すにつれて、寺院相互の横の繋がりを通して、訪問先となる各寺院に対して、さまざまな配慮をしていただけたのである。

釜山・観音寺は、『韓国三十三観音聖地』に含まれる寺ではないが、最初に訪れた韓国の寺が、たまたま『観音寺』であったことも、誠に不思議な縁といわねばなるまい。また、韓国の五大本山(三宝寺院に修徳寺、白羊寺を加えた)には、住職の上位に方丈と呼ばれる、それぞれの寺の象徴的立場に立つ最高責任者としての高僧が存在するが (他の二十の本山では、祖室と呼ばれる)、観音寺の知玄スニンは、松廣寺の方丈さま(パンジャン・スニン)が愛弟子として、そのこころを許している側近中の側近であり、療養のために松廣寺を離れて、しばしば観音寺に滞在される松廣寺の方丈さま、日本語の堪能な菩成パンジャン・スニンに何度かお会い出来たことも、大変にありがたいことであったと思う。

松廣寺は、釜山から南海高速道路を西へ200㎞、車で3時間余り、全羅南道、曹渓山の麓に位置する。高速道路を降りると、舗装された山間の道を進み、ゲートのある大きな駐車場のまわりに食堂や宿屋と呼ぶにふさわ相応しい)が何軒か集まった入り口付近に到着する。そこからやや幅の広い渓流沿いに、緩やかな坂道を上り、境内地にたど辿り着く。

十六人の国師(国の先生であり、国家、王室の精神的指導者)を輩出した寺であり、『僧宝の寺』と呼ばれるようであるが、律院(仏教戒律を学ぶ)、禅院(坐禅修行を専らにする)、講院(サンガ大学=仏教全般の基礎知識を学ぶ)を備えて(三宝寺院はこの三つを完備する)、百人を越える修行僧を擁するこの寺の空気には、どこか日本の臨済宗の道場に似た、門の敷居を越えることさえ一瞬躊躇させるような、凛とした、時に人を寄せ付けないほどの厳しさが漂っている。

ほとんどの僧侶が集い、早朝三時から始まる荘厳な朝課(朝のお勤め)、その朝課が行われる大雄殿(本堂)の裏手に登って一望に見ることの出来る、山懐に抱かれた大小様々な建物の配置の妙。そして甍の美しさとそれを包む山並みの優しさは、観る者に必ず「日本の寺=日本文化の原風景」と深くつながる歴史の大きな流れを想起させずにはおかない。

修行僧を養成する寺、日夜人を育てる寺として、過去に優れた国師を数多生み出した歴史的事実と共に、今も『僧宝の寺』と呼ぶに相応しい厳しい雰囲気と、素晴らしい環境とを保ち続けている寺である。

大興寺住職・井川周文 略歴

生年月日 1955(昭和30)年8月6日

大韓仏教曹溪宗韓国仏教文化事業団
「韓の国三十三観音聖地」諮問委員

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