DMZとは非武装地帯のことで、この区域は協約により武装が禁じられています。休戦合意後、約20年が経ってから非武装地帯の平和的利用に南北が合意しました。この合意により非武装地帯は約40年ぶりに人々に公開されました。韓国の休戦協定が結ばれてから約40年間、出入りが規制されていたため、常に関心の対象となっていました。今も出入りが規制され、特定のツアーでしか行けない場所もありますが、民間人の出入りが自由な場所もあります。今回の記事で紹介する場所はほとんどが自由に出入りできるところで、戦争とは無縁であるかのような平和で美しいところです。
2005年の世界平和祝典を機に造成された臨津閣国民観光地は、なだらかな芝生の丘に設置された約3000個のカラフルなかざぐるまが印象的です。ここは軍事境界線からわずか7キロしか離れていない分断の地で、戦争と冷戦の雰囲気に満たされていた臨津閣を平和と統一の象徴へと転換させるのに多くの努力を要しました。凍てついた地に活気を吹き込むため、公演、展示、映画などの様々な文化プログラムが行われる場所が設けられ、現在の複合文化空間ができあがりました。今は素晴らしい風景と文化施設で客足の絶えない人気スポットとなりました。
臨津閣国民観光地には平和ランドという小さな遊園地があり、子ども連れで賑わっています。楽しそうにはしゃぐ子どもたちの姿を見ると、ここがDMZであることを忘れてしまいそうです。24種類のアトラクションはいずれも子ども向けで、スリルを楽しみたい大人にはちょっと物足りないかもしれませんが、DMZの中で楽しめる遊園地は他の遊園地とはまた違った気分を体験させてくれます。
臨津閣国民観光地
平和ランド
西部戦線の最北端に位置する烏頭山統一展望台は、ソウルの漢江(ハンガン)と北韓の臨津江(イムジンガン)の合流地点にある烏頭山の頂上にあります。1992年のオープンから現在にいたるまで延べ1,900万人以上が訪れており、DMZ観光で外せない人気スポットとなっています。展望台の望遠鏡は無料で、川越しに北韓の景色を眺めることができます。望遠鏡を覗くと北韓がとても近くに見えるのに足を踏み入れることはできないという、南北分断の悲しい現実がひしひしと伝わってきます。
烏頭山統一展望台には地下1階から4階まで様々なテーマの展示室があります。地下1階では子どもの目線に合わせた遊びと体験を通して統一を理解することができます。2階の常設展示室には「懐かしい私の故郷」というテーマで失郷民(韓国戦争で北韓から韓国へ避難し、故郷に戻れなくなった人々)が故郷に対する思いをタイルに描いた4,000点あまりの作品が壁面に展示されています。その他企画展示や常設展示、映像などで分断の痛みが表現されています。なお、烏頭山統一展望台は軍事作戦地域であるため出入りできるのは日没1時間前までで、天候やその他の状況により終了時間が変更されることがあります。
漣川(ヨンチョン)にあるハーブビレッジはDMZを訪れた人々がよく立ち寄る観光スポットのひとつで、ハーブの香りを嗅ぎながら臨津江の素晴らしい景色を眺めることができます。ハーブの様々な香りは訪れた人を楽しい気分にしたり、心に安らぎを与えたりしてくれます。レインボーガーデンと呼ばれるハーブ畑は様々な色のハーブが縞模様に植えてあり、まるで虹のようです。
ハーブ温室でハーブの濃い香りを嗅ぎながら歩いていると心が落ち着いてきます。温室にはハーブだけでなくレモンツリーやアジサイも植えられています。また樹齢約300年の韓国最高齢のオリーブも5本植栽されています。ハーブビレッジには他にもハーブ歴史館やレストラン、ストーンガーデン、人工湖などがあり、見どころ豊富です。
才人瀑布という滝は漣川を代表する観光名所で、軍事地域に属しています。この滝は27万年前、溶岩が噴出してできた漢灘江(ハンタンガン)にあります。夏や秋には涼しげに流れ落ちる滝を見に多くの観光客が訪れます。才人瀑布には滝が眺められるスカイウォークがあり、透き通ったガラス床を通して峡谷の素晴らしい景色を見ることができます。長い歳月をかけて川が岸壁を侵食しており、今も滝は少しずつ上流へと移動しています。
鉄原労働党舎は韓国戦争当時の凄惨さを物語る建物です。日帝強占期以降、鉄原は北韓の土地だったところで、労働党舎は北韓の政権強化や住民統制の目的で建てられました。ここは韓国戦争で激戦地となった場所で、さびしく残った建物の骨組みや無数の砲弾痕が当時の熾烈な状況を伝えています。鉄筋ではないため2階・3階は内部が崩れ、外観のみ残っています。鉄原労働党舎はその後1990年代の人気アーティスト「ソテジワアイドゥル」のミュージックビデオのロケに使われ、注目を浴びました。現在はDMZマーケットや文化公演などが開かれる場所として使われています。
鉄原平和展望台は中部戦線の非武装地帯や北韓地域が一目で眺められる展望台で、多くの人々が訪れています。展望台の他にも戦争の写真の展示や第2トンネルを再現した模型などがあり、当時の状況を知ることができます。展望台は山の上にあり、そこまでモノレールに乗って楽に行けます(料金大人2,000ウォン)。モノレールチケット売り場の近くにある真っ赤な統一ポストは本物のポストではないので郵便物の配達は行っていませんが、統一を祈願する多くの人々の手紙が入っています。
ここは撮影が禁止されている場所があり、違反した場合は軍事施設保護法第17条により罰せられるため注意が必要です。撮影が可能な場所および対象は1階の展示館内部、展望台広場、南側地域の背景と必勝教会の背景です。撮影が禁じられているのは1・2・3階の展望台、前方境界施設物(GP(警戒哨所)、GOP(一般前哨)、鉄柵)、展望台の東側(右側)、哨所の背景です。
※上記の内容は2018年10月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。