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仏の教えが宿る法住寺でテンプルステイ
~俗離山麓でしばし心の休息~

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  • 日付2019/11/21
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法住寺

韓国中部・忠清北道(チュンチョンプクド)報恩郡(ポウングン) の名山・俗離山(ソンニサン)の麓にある古刹・法住寺(ポプチュサ)。法住寺の参道入口で人々を出迎える一柱門には「湖西第一伽藍」と書かれた懸板があり、ここがこの地域を代表する名刹であることが分かります。
一柱門をくぐり寺の境内に入り参道を進むと、その先はもの静かな晩秋の風景が続く別世界。少し進むと目の前にはまさに俗世と因縁を断ち切るかのように流れる川が現れ、その川に架けられた橋を渡ると、いよいよ法住寺の建物が軒を連ねる場所へと足を踏み入れます。
まず見えてくるのが法住寺の正門・金剛門(クムガンムン)。さらにその向こうの四天王門をくぐると、すぐ目の前に見えてくるのは、法住寺を訪れる人々を圧倒する国宝第55号・捌相殿(パルサンジョン)、そしてその左手にある巨大な金銅弥勒大仏。
捌相殿からさらに奥に進むと、これもまた国宝に指定されている国宝第5号・双獅子石灯や宝物第15号四天王石灯があり、さらにその向こうには、法住寺の中心的な仏閣で2本の木が建物を守るかのように前庭の左右に立っている大雄宝殿(テウンボジョン)もあります。

仏法が宿る名刹・法住寺の境内をこのように歩いていると、他の韓国の寺院とは異なるあることに気付きます。通常、山間部にある韓国の寺社の場合、山の傾斜を利用し階段状に敷地を作り、段々となった場所に建物をそれぞれ建立することが多々ありますが、この法住寺の境内は、周囲が山に囲まれ、近くに流れる川の河岸段丘の平坦地となっているような場所にあるため、階段状の境内とはなっておらず、平らな土地に仏閣が並び、他の韓国の寺の構造とは異なる様相を呈しています。とはいえ、他の山寺と同様、山々に周囲を囲まれ、俗世と隔絶された、釈迦の教えが静かに宿る寺といった雰囲気に違いはありません。
なお、法住寺は2018年、「山寺、韓国の山地僧院」として通度寺(トンドサ)、浮石寺(プソクサ)、鳳停寺(ポンジョンサ)、麻谷寺(マゴクサ)、仙岩寺(ソナムサ)、大興寺(テフンサ)とともに、ユネスコ世界文化遺産に登録された由緒ある寺で、韓国の魂が宿る場所といっても過言ではありません。

「みんなうまくいくさ!」幸せを求めて修行、テンプルステイ

法住寺テンプルステイ

お寺で過ごす文化体験プログラム・テンプルステイの中には、俗世から隔離された山寺で修行者の日課を体験できるところが数多くあります。特に、法住寺のテンプルステイプログラムは、「みんなうまくいくさ!」という題目の下、参加者ひとりひとりが悟りの世界に没入し、日々の生活でたまったストレスを解消、新たな幸せを探求する、そんなプログラムとなっています。
俗離山のそよかぜやせせらぎの音を聴き、陽差しが差し込む森の小道を散策する、そんな素晴らしい環境の中で現代人の体をほぐしてくれるのが法住寺のテンプルステイです。

Tip) 法住寺テンプルステイプログラム

1. 1泊2日自律型(フリースタイル)プログラム
基本プログラム:礼仏、供養

オプション(1つのみ選択):寺刹ツアー、マインドラッチ(マインドとスクラッチの合成語で、韓国伝統の七宝模様や曼荼羅の模様などが隠されたスクラッチペーパーを削り模様を浮き立たせる、心の癒しに効果があるアート作品作り)、蓮花提灯作り、塩曼荼羅(チベット僧が修行で描く砂曼荼羅を塩に置き換え、下絵の上に色鮮やかな塩をふりかけて曼荼羅を描く)、自らを呼び覚ます百八拝など
2. 1泊2日体験型プログラム
基本プログラム:礼仏、供養、寺刹ツアー、自らを呼び覚ます百八拝、、僧侶との対話、心身解きほぐし、森の道の布行、 参加者との共同作業

オプション(1つのみ選択):マインドラッチ、蓮花提灯作り、塩曼荼羅
3. 日帰り型プログラム
基本プログラム:寺刹ツアー、僧侶との対話

オプション(2つ選択可能):マインドラッチ、蓮花提灯作り、塩曼荼羅、自らを呼び覚ます百八拝

※各プログラムの内容は都合により変更される場合があります。

修行のはじまり!合掌と叉手、そして三拝

法住寺テンプルステイ参加者による合掌の姿勢

わずか1泊2日という短い期間ではありますが、仏家の仲間入りをしたら、早速修行が始まります。
法住寺テンプルステイに参加する外国人の方には、まずオリエンテーションを行い、合掌や、両手を軽く合わせる叉手(チャス)、そして仏様に捧げる三拝(サムベ)の意味から説明を始めます。海外からやってきた仏教と普段馴染みがない方々には難解なところもありますが、真摯な姿勢で取り組めば、次第に心が磨かれていくような気持ちになります。

胸の高さで両手の掌と10本の指を合わせる合掌は、心がひとつであることを表わします。境内で僧侶や寺で働く人に会った時にはこの合掌を行い一礼し挨拶を交わします。

両手を軽く合わせる叉手は、お寺での修行の最中、立った姿勢でいたり、歩いている時にお腹の前あたりに軽く手を合わせる姿勢のことを言います。左手の甲を右手で軽く合わせ、組んだ手をお腹の前あたりにもっていき謙遜の構えをすれば大丈夫です。

三拝はお釈迦様を拝む際に3回行う会釈で、最初の会釈ではお釈迦様に対し敬い、2回目は仏法に対し敬い、最後はお釈迦様の弟子に当る寺の僧侶や生きとし生けるすべて・一切衆生に対して敬うことを意味します。

修行の寺・法住寺を巡る

双獅子石灯(上)/大雄宝殿(左下)/金銅弥勒大仏(右下)

法住寺には現在、国宝3点、宝物12点をはじめ、有形文化財・無形文化財や天然記念物が数多くあります。中でも国宝第55号・捌相殿(パルサンジョン)は近代以前に建立された現存する唯一の五層木塔で、捌相殿の内部には、この世に生を受け、悟りを開くまでのお釈迦様の生涯を八つの場面で描いた八相図(パルサンド)が壁に掲げられています。

国宝第5号・双獅子石灯は、基壇石と一番上にある石灯の間にある石柱部分に雄・雌1対の獅子をあしらい、互いの獅子が向かい合って石灯を支えているような形となっている石灯です。
寺のガイドの方の説明によると双獅子石灯には次のような意味合いも含まれているそうです。
「よく見てみると、雌の獅子は口を開けていて、雄の獅子は口を噤んでいます。これは始まりと終わりを意味しているのと同時に、仏教で知恵の象徴とされる獅子が仏の教えを守っている姿を表わしています」

宝物第915号に指定されている大雄宝殿では、お釈迦様を拝むことができます。法住寺の大雄宝殿は他ではあまり見かけない重層建築の仏閣建築で、正面七間、側面四間の規模を誇るかなり大きな仏閣となっています。

法鼓の雄壮な響きで始まる礼仏

夕暮れ後に執り行われる夜の礼仏

韓国の仏教で礼仏とは、寺の境内のすべての僧侶が明け方と日が暮れた夜の二回集い格式をもって仏像に拝礼することをいいます。
正式な形の礼仏は、道場釈(トリャンソク)と言われる、木鐸を鳴らしながら境内を練り歩く儀式から始まりますが、テンプルステイに参加した人々は寺にある大きな太鼓・法鼓(ポッコ)の儀式を観覧することからこの礼仏がはじまります。
法鼓は太鼓の両面に皮が張られ、両面とも叩いて音を出すことができる大太鼓で、大雄宝殿に向いている方の法鼓の表面の皮は雌牛の皮が、反対側の裏面の皮は黄牛(ファンソ)の皮が使われています。
陽が沈んだ後の夜の礼仏では大雄宝殿側の表面の皮を叩き、今日一日の一切衆生の労苦を慰め、夜明け前の礼仏では現世に向けて力強く裏面の黄牛の皮を叩き、一体衆生の怠惰を諭す意味があります。
法鼓とともに寺の梵鐘の鐘突きも行われます。早朝の礼仏の際には28回、夜の礼仏の際には33回、寺の梵鐘を突きます。

もうひとつの修行、供養

供養の様子

お寺では食事のことを「供養(コンヤン)」と呼んでいます。元々、供養は「尊敬の念をもって、両親や師匠、あるいは身近な人に食べ物など、なくてはならないものを捧げること」を意味しますが、仏門で供養といえば「ご飯を炊いて仏様に捧げたり、それを食する」ことを意味します。
つまり、供養も重要な修行のひとつといえます。お寺の供養では、肉やニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウ、ノビルといった五辛菜を食材に使わず、その他の野菜を中心としたあっさりめの調理を行い、ご飯や汁物、おかずといった質素な食べ物を食べる分だけ取って食べます。また、供養の最中には黙言、つまり誰とも話さず黙って黙々と箸を取って食べなければなりません。最後まで残さず食べたら、自ら皿を洗って一連の供養の作法を終えます。

108つの願いを込めた百八拝

礼仏と百八拝

テンプルステイは大変貴重な体験ができる機会ではありますが、中には過酷な修行もあります。それが百八拝(ペクパルベ=108拝)。
仏教では人々の煩悩108つに分け、108回拝礼をすることにより、人々の煩悩をひとつずつ取り除いていきます。
椅子に座る機会が多い外国の方々には板の間に座る姿勢が少々、膝に負担をかけるかもしれません。途中、休み休みでも日ごろの煩悩を洗い流すという気持ちを込めて拝礼すれば、次第に心が洗われるような気持ちになってきます。

数珠作り体験

数珠作り体験

数珠は仏教で仏様や菩薩などを拝礼するときに手にかけ用いますが、念仏を唱える時、念仏の回数を数えるときにも使うことがあります。
元々、アキグミの木で煩悩の数とおなじ108つの数珠玉を繋げて作り、数珠をひとつずつつまぐり、108つの煩悩をなくしていきました。法住寺テンプルステイではナツメの木が素材の27玉の数珠(短珠)を作る体験ができます。

世祖キルの散策、そして僧侶との対話

福泉庵(上)/世祖キルの散策(左下)/僧侶との対話(右下)

1泊2日のテンプルステイの最後は、法住寺の近くにある世祖キルの散策と、法住寺の僧侶とともにお茶を飲みながらの対話。
俗離山の澄んだ空気と自然を全身で感じられる世祖キルの散策や法住寺の僧侶との対話は心に染み入り深い感銘を受けます。
実はこの法住寺、朝鮮時代の第7代の王・世祖(セジョ)と深いゆかりがあるお寺です。甥に当る端宗(タンジョン)から王位を奪い即位した世祖は晩年、皮膚の病を患い、全国の寺を回り、その治療と病の治癒を願う供養に心血を注ぎました。世祖は記録によればこの法住寺を三回訪れていますが、1464(世祖10)年のお出ましの際、世祖が乗る輦(駕籠)が法住寺の入口に立つ松の木の下枝に引っかかりそうになり、通り抜けられそうになことから「輦が引っかかる」と叫ぶと、不思議なことにこの松の枝が持ち上がり、駕籠がここを通り抜けられたといいます。このことに感銘を受けた世祖はこの松に「正二品」という高い官位を授けたという逸話が伝えられており、その松の木は「正二品松」と呼ばれ、いまでもこの場所に残っています。
テンプルステイのプログラムのひとつ・散策で歩く俗離山の世祖キルの道は法住寺から洗心亭(セシムジョン)まで続く静寂に満ちた道で、現代になった今日でもさまざまな世祖にまつわる逸話が残っています。

More info

法住寺テンプルステイ
  • ☞ 所在地:忠清北道 報恩郡 俗離山面 法住寺路405(충청북도 보은군 속리산면 법주사로 405)
  • ☞ アクセス:俗離山ターミナルからタクシーで約5分、徒歩約35分
    ※ ソウルからは、南部バスターミナル(ソウル地下鉄3号線南部ターミナル駅そば)、東ソウルバスターミナル(ソウル地下鉄2号線江辺駅そば)から俗離山ターミナルまでおよそ3時間半(道路の混雑状況により所要時間は変わります)
  • ☞ 主なプログラム:1泊 2日自律型プログラム(Free-style Program)、 1泊 2日体験型プログラム(Experiencing Program)、日帰りプログラム(Daily Program)
  • ☞ 参加可能時期:
    ・1泊 2日自律型プログラム:平日常時実施
    ・1泊 2日体験型プログラム:ネット上で募集
    ・日帰りプログラム:事前予約なしで参加可能
  • ☞ 参加料金:
    ・1泊 2日自律型プログラム70,000ウォン
    ・1泊 2日体験型プログラム:70,000ウォン
    ・日帰りプログラム:30,000ウォン
    ※ 上記料金は大人・青少年参加の場合の料金です。
    ※ 外国人の自律型プログラム参加者は5人から10人限定で周辺観光地ツアーも実施。
  • ☞ 電話問合わせ:+82-43-544-5656、+82-10-9528-5655 (韓国語・英語)
  • ☞ ホームページ:https://eng.templestay.com/temple_info.asp?t_id=beopjusa (韓国語・英語)
  • 韓国観光案内電話 +82-2-1330 (日本語・英語・中国語・ロシア語・ベトナム語・タイ語・マレー/インドネシア語)

※上記の内容は2019年11月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。