由緒ある温泉と近代的な施設が融合

釜山のランドマーク、センタムシティにあるスパランド。歴史的な意味を持つ温泉とテーマのあるサウナを導入し、釜山市民だけでなく様々な国からやってきた観光客に人気のヒーリングスポットだ。

釜山は、古くから温泉で有名な地域だった。『三国遺事』に、新羅の神文王の時代に「宰相の忠元公が東萊温泉で沐浴した」との記録が残っているほど、歴史的にも長い温泉文化を誇る。朝鮮時代になると温泉の規模が大きくなり、日本からも温泉を楽しむために釜山を訪れる人がいるほどだった。国が直接温泉を管理し、旅館が建てられはじめると、韓国最高の温泉観光地として名を馳せるようになった。海雲台一帯の超高層ビルが描く素敵なスカイラインをたどっていくと、水営江の川辺にあるセンタムシティと世界最大規模の新世界百貨店が姿を現す。広大な規模を誇る百貨店だけに、スパランドに行く前にも見どころ豊富で一石二鳥だ。

マンモス級の広さの温泉施設

2009年にオープンしたスパランドは、地下1,000mから汲み上げた100%天然温泉を活用した22のお風呂、13の多彩なチムジルバン、サウナ、野外足湯などで構成されている。足湯から岩盤浴、温泉まで一ヵ所で楽しめるモダンで高級感のある施設を完備しており、オープンしてすぐに口コミで人気が広まった。週末はかなり混み合うので、存分に楽しむには時間に余裕をもって行くことをおすすめする。スパランドは、1階の温泉と韓国式チムジルバン、1.5階のテーマサウナ、2階のエステティックサロンや休息場、レストランやカフェなどが揃っている。本格的にチムジル体験をする前に、1階の屋外足湯場へと向かう。足湯はチムジルとサウナの前の準備運動といったところである。膝丈ほどのお湯に足を浸けると、温かいお湯がなんとも心地良い。屋外での足湯で体が既に軽くなったようだ。13種類のチムジルバンは、韓国式伝統チムジルバンと、世界各国のサウナをコンセプトに構成されている。炭を積み上げて作られた「堅炭の部屋」は、高温であるがとても快適である。入って5分もすれば額に汗が浮き上がる。堅炭はマイナスイオンを発生させ、酸性化した体質をアルカリ化し、更に殺菌や肌のトラブル予防に良いとされる。黄土で作られた「黄土部屋」は、黄土の酵素成分がデトックス作用、抗菌、止血効果を発揮し、疲れを取り気持ちを落ち着かせる効果も期待できる。室内庭園を通り階段を上ると、ユニークなサウナも体験できる。サウナの国のフィルランド式サウナや、古代ローマの大衆浴場をチムジルの形で再現した蒸気浴が楽しめる「ローマンルーム」、色鮮やかなタイルが敷き詰められた、トルコの古代の公衆浴場を再現した「ハマムルーム」、自然の音や瞑想音楽を聴きながらサウナを楽しむ「ボディサウンドルーム」などが代表的だ。

質の違う温泉

汗を流した後は、2階のエンターテイメントゾーンへと向かう。リラックスルームには、心安らぐ休 息のためのリクライナーチェアが置かれている。専門テラピストのテクニックでリラックスしてみたいなら、エステティック「SHIM スパ」がお勧め。凝った筋肉を解してくれる、コリアンスタイルの「ボディトリートメント」や、ユニークに設計された椅子に体を沈め、首、肩、足のマッサージを満喫できる「Solbasic、50コース」がお勧めのプログラムである。スパランドの最大の自慢は「水」である。地形的特色により2種類の温泉水が楽しめる。18の温泉浴場と2つの冷浴場、2種類のバーデプールがあり、好みによって好きな場所で疲れを癒す。スパランドでは、疲労回復と肌の美容に効果的だとされる塩化カルシウム成分の風呂や、血液循環や痛み緩和の効果がある塩化ナトリウム成分の「熱湯風呂」を楽しむことができる。様々なスタイルのチムジルや温泉浴を楽しみながら、日常生活で溜まった疲れやストレスを解消したスパの旅。ふと時計をみると、スパを楽しんでいるうちにあっという間に半日が過ぎてしまっていた。

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