2021/12/02
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森で時間を過ごすのは、自らを慰め癒すことである。緑の多彩なバリエーションを眺め、森が放つフィトンチッドをたっぷり吸い込むと、いつの間にか目が安らぎ心は落ち着く。座亀山自然休養林は、多忙な日常に疲れた現代人の疲労や緊張をほぐすための多様な方法を提案する。
山林治癒は、森の多様な環境因子を活かして人体の免疫力を高め、心身の健康を回復させる活動である。ヨガ、歩き、読書、瞑想などの場所を森に移すだけでも効果は倍増する。曽坪坐亀山自然休養林は、2017年から坐亀山「森瞑想の家」を中心にヒーリング瞑想プログラムを運営してきた。それぞれのプログラムは、やさしく真心が込められているので、訪問者の心まで温まってくる。
森瞑想の家は坐亀山の山腹、300m高地に位置している。鬱蒼とした森が放つフィトンチッドが凝集する場所である。森の温もりをたっぷり含んでいる瞑想の家は、3階建ての建物に探訪客のためのスペースを念入りに整備している。1階には工房をはじめマッサージチェアのある休セラピー室と足湯プログラムを 実施する水セラピールームが、2階にはヨガと瞑想を団体で体験できる講堂と飲食ディミバン、3階には健康測定室と瞑想スペースが設けられている。建物の近くにふっくらと花畑が可愛らしく集まっている。ここで育てた花で50種類以上の茶を直接焙ずる。探訪客は3階の健康測定室でストレスと血圧をチェックし、好みや調子に合わせて茶を選ぶ。瞑想の家では、旬の食材で丁寧に作った蜜菓子も茶と共に味わえる。春になると近くで育ってヨモギで作ったもち米のヨモギインジョルミも提供するんだという。茶を飲むスペースからは坐亀山の眺めが一目に入る。茶台の下には足湯器がある。ハーブを入れたお湯に足を漬けて山勢を 眺めていると、森を訪れた理由がわかってくる。森が風に合わせて踊るのを見ていると、この上なく幸せになる。最初は薄かった花茶からも、時間の経過と共に甘みが感じられる。
坐亀山の森瞑想の家が提案する「瞑想方法」は大したものではない。内面にアプローチする特別な技や内攻がなくても、誰もがその瞬間を楽しんで集中すれば、それが本物の瞑想になるという。結局、森を100%楽しむことが自分の中にあるもう一つの自分に出会えるための旅道になるのだ。森を横切る森の治癒コースを歩き、渓谷に足を入れてじっと水の音を聞いて、桜の休憩所に設置されたハンモックに横になって、葉の隙間にゆらゆらとする光と風を感じるのも良いだろう。森瞑想の家では森道歩きの瞑想、森中ヨガ、竹棒マッサージ、伝統茶食、花茶の製茶、茶の香り瞑想など、多様な方式の森の治癒プログラムを用意した。さらなる経験が欲しい場合は、体験プログラムに参加してみよう。花茶焙じ、ウッドバーニング、天然染色、ストリングハート、螺鈿漆器作りなどのプログラムは、触感から自然をさらに身近に楽しむ方法を模索する。休養林で運営する多様なレジャースポーツコースも見逃せない。中でも坐亀山綱渡りの人気が高い。縄にぶら下がって、5区間に分かれた延長1.2kmの距離を鳥のように横切ると、息苦しかったのがすっきりしてすべての心配や悩みが一瞬で消えるようで、これもまた瞑想といえる。
プログラムの実施可否は気象状態によって変更することがある。プログラム別に申込できる最低人数が決まっている。山林治癒は8名、森の解説は4名、天然染色は6名から申込できる。天然染色を除く工芸体験は、現場で空きがあれば随時申込むことができ、花茶、足湯、休セラピーは随時申込める。