韓国中西部の大都市で、科学技術・行政都市として発展を遂げている大田（テジョン）広域市。その大田の交通の要となっているKORAIL京釜線・大田駅から東へ1kmほど進んだ高台にあるのが、今回ご紹介する大洞（テドン）ハヌル公園です。
公園へ向かう道すがらにはカラフルな壁画が描かれた壁画村があり、また夜の帳が下りるとライトアップされた公園の高台にある風車小屋や街の灯りなど素晴らしい夜景も楽しめる大田きってのロマンチックな観光スポットです。近年ではSNS（ソーシャルネットワーキングサービス）を通じて大田の夕焼け・夜景の名所として人気となり、訪れる人の足が絶えない場所となっています。

大洞ハヌル公園がある大田広域市東区大洞界隈は小高い丘のようになった高台があり、その傾斜地には韓国戦争（1950～1953年・休戦）の戦火を逃れ避難してきた人々が定着して町が形成された、いわゆる「タルトンネ（月の町）」と呼ばれる一角があります。大洞壁画村と呼ばれるこの町には、急坂が多く、入り組んだ路地が続き、路地には建てられて長い年月を経たマッチ箱のように小さな家々が肩を寄せ合うかのように軒を連ねており、戦争直後の辛く苦しかった時代を物語っているかのようです。そんな町もいまでは路地に描かれた数々の愛らしい絵のおかげで、明るく、そして華やかな雰囲気となっています。

この町にかわいい壁画が描かれるようになったのは、2007年に行われた公共美術プロジェクトがきっかけでした。地元のアーティストや地域住民が手を携えてともに町中の路地に壁画を描き始め、今では大田を代表する壁画村へと成長しました。中には立体的に描かれた壁画もあり、人々の興味を引く作品も多くあります。路地の隅々まで歩いて気に入った壁画をバックに記念写真を撮るのもいいかもしれません。
ただし地元住民の方々が住んでいるエリアですので、くれぐれも騒いだり、夜遅い時間帯に訪れたりしないよう、マナーを持って見学するようにしましょう。

大洞壁画村を見学したら、さらに高台を上って大洞ハヌル公園へと向かいましょう。大洞ハヌル公園はその名称に「ハヌル・空」ということばが入っていることからも分かるように、大洞の町で一番高い丘の上にあり、大空の下に広がる小さな憩いの場といったところです。園内にはベンチや東屋、木製のブランコがあり、憩いのひと時を過ごしたい方にうってつけのところです。公園の一番高いところには大洞ハヌル公園を代表するランドマークの風車小屋があり、陽が落ち辺りが暗くなってくるとライトアップされ絶好のフォトスポットになります。

大洞ハヌル公園がある高台の丘は標高およそ127mと小高い山のようになっているところですが、高い建物などが少なく目の前に遮るものがなく、大田中心部の街並みを見渡すことができます。線路を隔てて南西の方角には宝文山（ポムンサン）、遥か西には韓国中部の名峰・鶏龍山（ケリョンサン）などの山々が大田の街を屏風のように取り囲み聳える様子を眺められ、神秘な雰囲気さえ感じられます。

陽が傾き始める頃になると公園の高台には三々五々、人々が夕焼けの風景を眺めにやってきます。真っ赤な太陽が大田駅前に聳える超高層ツインビルの間に沈むと高台ではあちらこちらからため息にも似た歓声が上がります。
オレンジ色の夕焼けの風景が次第に漆黒の世界へと変わり始めると、町には明かりがひとつふたつと灯り始めます。百万ドルの夜景といった華やかさはありませんが、素朴ながらしみじみとした趣のある夜景が楽しめます。

もしカップルで大田を旅する機会があれば、こんな小さなイベントもおすすめ。風車小屋の前にはふたりの愛を誓う鍵がかけられる場所がありますので公園にやって来た記念に鍵をかけてみてはいかがでしょうか。
また風車小屋の反対側にある散策路・オソル路沿いにはヨネパウィ・恋愛岩、サランパウィ・愛の岩と呼ばれる岩もあります。この岩の真ん中がぺこりと凹んでいていますが、ここに忍んでやって来た恋人たちが座って愛を囁いたという言い伝えが残っていますので、ここでしばし愛する人と素晴らしい景色を眺めながら一息ついてみてはいかがでしょうか。

韓国語原文を見る

※上記の内容は韓国観光公社韓国語ホームページに2021年5月に掲載された内容を基に翻訳、日本語ページ用に一部加筆・再構成したもので、情報は2022年9月現在のものです。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。