2023/04/24
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日常から離れて旅に出ると、絶対に行きたい自分だけのスポットがあるものです。ソウルに行くなら、そのリストに「伝統市場」を入れてみてはいかがでしょうか。現地の人々の生活がそのまま溶け込んでいる市場は、ガイドブックに載っているものとはまた違った韓国の素顔に触れられます。賑やかな人混み、その中で食べる各種市場グルメ、SNS映えスポットなど、ありとあらゆるものが一堂に楽しめます。
ソウルで地元の人の生活を肌で感じたいなら、まずはチョンギェチョン(清渓川)沿いの韓国観光公社のハイカグラウンド(HiKRHi from Korea GROUND)へ。ここでは旅行者一人一人に合わせた旅行コースを案内してくれるので、事前に調べたコースについても有用な情報を得ることができます。
ハイカグラウンドのビルを出て清渓川に沿って右側(東大門側)に行くとクァンジャン(広蔵)市場があり、また、ビルを出て左側(景福宮側)に行くと光化門を過ぎたところにトンイン(通仁)市場があります。四季折々、いつ訪れても魅力的な清渓川の川辺をゆっくり歩きながら、ソウルの人気観光スポットを見て回るのもおすすめです。韓国で今最もホットなキーワードであるニューレトロを体験したいなら広蔵市場に、瓦葺屋根の伝統家屋が軒を並べた朝鮮時代の風情を味わいたいなら通仁市場に行ってみましょう。
レトロやニュー、HIPというアンバランスな言葉がパズルのようにぴったり当てはまるところがここ、クァンジャン(広蔵)市場です。食欲をそそる油の匂いが真っ先に迎えてくれる広蔵市場には、ビビンバやユッケ、カルグクスなど、さまざまなおいしそうな料理がずらりと並んでおり、ここではどれを味わっても親指を立てて大満足するに違いありません。
チョンノサムガ(鐘路3街)方面に大きな通りを歩いて行くと、ニューアルしてニューレトロの聖地として浮上している世運清渓商店街があり、道を挟んで向かいには宗廟や昌慶宮もあります。この辺りには雰囲気のいいカフェがたくさんあるので、歩き疲れたらコーヒーを飲みながら一休みするのもいいでしょう。清渓川方面に行くなら、流行の先端を行く乙支路(ウルチロ)エリア「HIP支路(HIPな乙支路/ヒップチロ)」に行ってみましょう。昔と今が混在する不思議な雰囲気の空間が、古びたビルのあちこちに密かに隠れています。
ソウルで最も人気のある伝統市場といえば、何といっても広蔵市場です。油をたっぷり引いて焼き上げたピンデトクや肉団子、新鮮で歯ごたえのあるユッケ、辛子醤油をつけて食べると病みつきになるマヤクキンパプ、歯ごたえのある手打ち麺が美味しいカルグクス、山盛りにした各種の野菜を好みに合わせて混ぜて食べるビビンバなど、おいしそうなものばかりでどれも食べてみたくなります。
若者に人気のスポットに行ってみたいなら、広蔵市場内にある「365日市場」がおすすめです。韓国の伝統モチーフをキッチュにアレンジしたアクセサリーなど、かわいい小物が並んでおり、見ているだけでも楽しくなります。ここで広蔵市場で噂のミールキットや「広蔵市場1905ビール」などを買い込み、ホテルでルームサービス代わりに楽しんでみるのもいいでしょう。広蔵市場入口の角にあるカフェ「onion」、ワインバー「hidden hour」もおすすめのスポットです。
韓国ドラマの『ヴィンチェンツォ』にも登場したセウン(世運)商店街は韓国初の住宅・商業複合施設で、一時は老朽化による建て替えが議論されたこともありますが、建物と商店街の再生を図ることとなり、HIP支路のトレンドと相まってニューレトロのメッカとして再浮上しています。
8つのビルをつなぐ3階のペデストリアンデッキには、HIPなカフェや電子部品店などが入店しています。カフェ「ホランイ(虎)」は世運商店街を代表する人気スポットで、店の扉を開けると、なんとなく曖昧だったHIPとレトロの意味が自然と納得できます。まろやかでコクのあるホランイラテと旬のフルーツを使ったフルーツサンドは必食。映画関連の各種小物を販売している「クムジオギョプ(金枝玉葉)」やドーナツで有名な「パウ」、哲学専門書店「ソヨ書架」など、小さな探検を楽しんでみるのもいいでしょう。デッキをぐるっと一周して、向かい側のビルを背景にSNS映え写真を撮るのもおすすめ。携帯のカメラはセピア色のフィルムカメラモードに設定しておきましょう。
HIPやニュー、レトロは共存できない単語ですが、HIPなことが大好きなミレニアル世代とZ世代の若者に、自分たちが経験していない時代を抱えたウルチロ(乙支路)のレトロな雰囲気が受け、レトロはニューレトロとして生まれ変わりました。真っ先にニューレトロの恩恵をうけたのはウルチロサムガ駅一帯のウルチロ(乙支路)です。最近はHIP支路(HIP+乙支路)として知られ、今時のデザインプログラムにはなさそうなフォントを使った色褪せた看板が、他にはないユニークな雰囲気を醸し出しています。路地の中に入ると、看板すらない古い建物が別世界へと誘います。地図に頼るよりは六感を信じてみたくなる場所。何となくユニークな店がありそうなところを探し求めて、古いビルの暗い階段を上がって行くと、アリスのワンダーランドに迷い込んだような気持ちになることでしょう。
1人がやっと通れるほどの狭い路地にある「コーヒー韓薬房」とその向かいにあるデザート専門店「ヘミンダン(恵民堂)」、香港の雰囲気が味わえる「ウルチ(乙支)・チャンマノク(張曼玉)」、ウルチロでピメク(ピザ+ビール)を楽しみたい時にぴったりの「ウルチメゴク(乙支麦屋)」、韓国人のソウルフードである冷凍豚肉のサムギョプサルと焼飯が食べられる「チョンジュチプ(全州屋)」などは、探しづらいところにありますが、一度は訪れてみたい店です。
ARMY(BTSファン)ならこのHIP支路で絶対に立ち寄りたいのがBTSの『2021 SEASON'S GREETINGS』のロケ地「ウルチダバン(乙支喫茶)」。最近、再開発によりウルチロサムガ駅10番出口付近に移転しました。午前6時から営業開始なので、卵黄入りの双和茶を飲んで旅の疲れを癒し、一日のスケジュールを少し早めにスタートしてみるのもいいでしょう。
せっかくここまで来たなら、ウルチロから徒歩10分ほどのところにある朝鮮時代の宮殿のチャンギョングン(昌慶宮)や、ユネスコ世界遺産に登録されているチャンドックン(昌徳宮)やチョンミョ(宗廟)にも行ってみましょう。宗廟から昌慶宮の間にある340メートルの宮殿の塀を復元した「宮殿塀道」もおすすめです。複雑な都心から離れ、緑の中をゆっくり歩いていると、旅の疲れも癒されることでしょう。
朝鮮時代、ソウルは漢陽(ハニャン)と呼ばれていました。王が住んでいたキョンボックン(景福宮)を中心に、王族や官僚らが住んでいた右側のプクチョン(北村)、医官や訳官が集まって住んでいた左側のソチョン(西村)に分かれていて、当時の文化は今も古い路地の中に静かに息づいています。
まずは、活気に満ちた雰囲気の西村からめぐってみましょう。他の市場に比べて規模は大きくありませんが、楽しみどころ満載のトンイン(通仁)市場、そして、夜になるとより賑わう世宗村飲食文化通り、その間の迷路のような小さな路地は、古いアルバムをめくったかのような郷愁を感じさせます。
昔の王の居所だった景福宮と復元が行われているクァンファムン(光化門)、最近まで大統領の執務室だったチョンワデ(青瓦台)を通って徒歩で20分ぐらい行くとプクチョン(北村)韓屋村にたどり着きます。地下鉄3号線キョンボックン駅2番出口からスタートすると、1日の旅行コースが決めやすくなります。宮殿と北村をメインコースにするなら、伝統衣装専門レンタルショップでハンボク(韓服)に着替えて、朝鮮時代の王様やお姫様になりきって歩いてみてもいいかもしれません。SNS映えするフォトスポットもたくさんあるので携帯やカメラもお忘れなく!
19世紀の朝鮮時代に使われていた貨幣であるヨプチョンが、今も使える市場があります。正確にはヨプチョンを模したコインですが、通仁市場のヨプチョン弁当で使うことができます。市場の真ん中あたりにある通仁市場のお弁当カフェ「通」で、1ニャン(両)500ウォンで販売されているヨプチョンを必要な分購入し、一緒にもらえるお弁当の容器に市場を回りながら食べたいものを選んでお弁当に詰めてみましょう。各店にはそれぞれのおかずの購入に必要なヨプチョンの枚数が書かれています。おもちゃのようなヨプチョンを小さな壺に直接入れてセルフで支払います。
通仁市場のシンボルともいえる油トッポッキ、カラフルな色合いで目を楽しませてくれるクジョルパン(九折板)、身体が温まるにゅう麺、ボリューム感のある豚肉炒めなど、多彩なメニュー構成が可能です。スープやご飯はお弁当カフェでそれぞれヨプチョン2両で購入でき、電子レンジも用意されているので、おかずを温めて食べることもできます。残ったヨプチョンは購入した場所で返金してもらえます。
通仁市場の周りにはおしゃれなカフェやレストラン、小物ショップなどがたくさん並んでいるで、足を延ばしてみるといいでしょう。
1985年にキョンボックン駅ができてから、夜になるといつも賑わっているこの通りは、老舗はもちろん、若い世代の感性を刺激するHIPな店が軒を並べています。
お腹がいっぱいになったなら、通りの右側の小道を散歩してみましょう。小道の途中にある「テオ書店」が見えたら、立ち寄ってみることをおすすめします。今はカフェとなっていますが、元はソウルで最も古い書店でした。
キョンボックン(景福宮)は、朝鮮を建国した太祖イ・ソンゲ(李成桂)が首都を漢陽に移しながら最初に建てた宮殿で、あちこちから王室の気品が感じられます。
時間がないときや人混みを避けてSNS映えする写真を撮りたいときは、勤政殿から一番遠い泰元殿にまっすぐ行ってから香遠亭と慶会楼を回り、次のコースに移動するのがおすすめです。4月~5月、9月~11月には期間限定で夜間に入場できるので、その時間に合わせて行くのもいいでしょう。なお、景福宮はハンボク(韓服)を着て行くと無料で入場できます。
景福宮の北側にある神武門を出るとチョンワデ(青瓦台)の正門が現れます。歴代大統領の執務室及び官邸として使われた青瓦台は、2022年に現政府が官邸を移転しましたが、本館の右側にある迎賓館では、今も国賓のための公式式典や大規模な宴会が行われています。
多くの芸術家が集まっているところで、ソウルで最もスタイリッシュな通りとなっています。この界隈には有名なギャラリーが立ち並んでおり、モダンなインスピレーションで満たされることでしょう。さまざまなレストランやカフェができては消えていきますが、今まで三清洞で長い間営業を続けている店ならその味が保証されているのも同然です。
壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の時に焼失したものの、近代になってから何回かに分けて復元工事が行われた景福宮は、国の重要な行事がある時に王と百姓たちが出会って疎通する役割をしていました。
景福宮前にある光化門広場には、朝鮮時代の最高の王とされている世宗大王の銅像があります。また、道を渡ったところにある大韓民国歴史博物館には、2039年に開封予定のBTSのタイムカプセルが展示されてます。
チョンギェチョン(清渓川)と鐘閣の北側にあることからその名が付いた北村は、宮殿に出入りする朝鮮時代の王族や両班(士族)、官僚たちが住んでいた裕福な村でした。伝統韓屋1,500余棟が軒を並べる小道は600年の歴史を物語っており、チャットGPTがソウルを代表する観光スポット5選の一つにここを挙げています。
翼のような屋根が連なる韓屋村の景観の美しさは、小道を最後まで上り詰めないとその真価を十分に知ることができません。甍の波の向こうに高層ビルが見え、過去と現在の交差点にいるかのような錯覚を呼び起こします。
※上記の内容は2023年4月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。