韓国人の健康の秘訣は滋養食
活気に満ちた日常を維持する秘訣

朝鮮時代の医学書『東医宝鑑』には「薬食同源」という言葉が出てくる。「薬と食べ物は源が同じ」というこの言葉は、普段口にする食べ物が健康に大きな影響を及ぼすことを意味する。料理と料理、食材同士のバランスを重視する韓国の「薬膳料理(治療目的で薬効のある食材を入れて作った料理)」に見られる特性は、このような考え方から来ている。韓国では薬効のある料理で病気の治療効果を期待したり、病気になりやすい体質を補ったりするなど、「薬食同源」の食文化に日常の中で触れることができる。
韓国の滋養食もこのような視点が受け継がれてきた料理だ。免疫力が低下しがちな季節の変わり目、暑さで気力が衰えがちな真夏などの時期になると、韓国人は栄養満点の滋養食を食べて健康管理する。韓国人の活気に満ちた日常を維持する秘訣である滋養食を見ていくことにしよう。
韓国人の代表的な滋養食「サムゲタン」
サムゲタンは世界的にも広く知られている韓国の代表的な滋養食。韓国人は伏日(夏の最も暑い時期とされる初伏・中伏・末伏のことで、犬も疲れてうつ伏せになるほど暑いという意味で「伏」の字を使う)になるとサムゲタンを食べる。真夏にあえて熱いサムゲタンを滋養食として食べる理由は、韓国人の「以熱治熱(熱を以って熱を治すという意味の韓医学原理の一つ)」文化から来ており、また高カロリーのサムゲタンを食べることによって暑さで消耗した体力を補うためでもある。鶏は伝統的に滋養食の材料として用いられてきた。韓半島では古くから鶏肉の水炊きが滋養食として食べられ、現代に至ってはそれに高麗人蔘やナツメなどの副材料が追加され、サムゲタンとなった。
サムゲタンは内臓を取り除いた鶏の中に高麗人蔘、ニンニク、ナツメ、もち米などを詰め込み、じっくり煮て調理する。サムゲタンは入れる材料によって様々な種類がある。黄耆、当帰、鹿角などの韓方薬材を一緒に入れて煮込んだ「韓方サムゲタン」、アワビやテナガダコを一緒に入れて煮込んだ「海鮮サムゲタン」、エゴマを加えて煮た「エゴマサムゲタン」などがその例だ。健康に良い副材料を入れて鶏と一緒に長時間煮込んだサムゲタンの熱いスープは高タンパクで、暑さに負けないようにスタミナをつけてくれる。サムゲタンは特有のまろやかな味で外国でも人気が高い。おかげで韓国を訪れる外国人が好む料理の一つに数えられる。