2025/02/20
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いつ食べても、一年中美味しい。
テグ(大邱)ピョンファ(平和)市場の近くには、「テグ(大邱)ピョンファ(平和)市場タクトンチプ通り(テグ広域市トン区アヤンロ9ギル一帯)」が形成されており、チキン、チムダク、砂肝天ぷらなど様々なチキン料理が楽しめる。
農村社会を研究する学者であり、作家でもあるチョン・ウンジョンは、著書『大韓民国チキン事情』でチキンを「祭りの料理」と定義している。韓国人にとってチキンは、スポーツ観戦を楽しむときや、年中行事、祭り、祝い事のときに食べる料理の代表格だ。
1960年、ミョンドン(明洞)に丸鶏の「電気焼き(正確に言うとオーブン焼き)」をメインメニューとする「元祖栄養センター」がオープンした。元祖栄養センターでは、電気オーブンで鶏肉を焼いているので、外はカリッと中はジューシーな味が特徴だ。「栄養センター本店」という商号に改称し、今でも国民から大変愛されている。元祖栄養センターが開店して以来、丸鶏の電気焼きを専門とするお店が全国各地に広まった。1960年代半ばは、まさに丸鶏の電気焼きの全盛期だったといえる。
1970年代に入ると、丸鶏の電気焼きの人気は、丸鶏のフライへと続いた。1971年、トンバンユリャン(東方油亮、現・サジョ(思潮)ヘピョ)が植物性大豆油の「ヘピョサラダ油」を発売した。これが丸鶏のフライ、つまり今でいうチキンの始まりとなった。サラダ油が普及すると、市場の商人たちは競って生鶏を丸ごと油で揚げて売るようになった。さらに、養鶏産業の規模が大きくなり、粉食の奨励政策により小麦粉が普及したことで、チキンは韓国人が好んで食べる国民食として定着していった。
1977年、新世界百貨店本店地下1階に「リムスチキン」がオープンし、韓国チキン市場の勢力図に新たな変化が起こった。それ以前は、鶏一羽を丸ごと揚げたものを販売するのが一般的だったが、この時期から切断して揚げたフライドチキンが流行り出した。その後の1981年には「ペリカナチキン」がヤンニョムチキンを発売し、再び市場に変化をもたらしたが、この時にようやく馴染みのある「韓国式チキン」が誕生したと見る人が多い。
2002年の韓日ワールドカップは、まさにチキンの全盛期をもたらした。それまで1万店ほどだったチキン屋は、韓日ワールドカップ後にはなんとその2倍以上の2万5千店まで増えたからだ。サラダ油の登場がチキンの大衆化に貢献したとすれば、2002年の韓日ワールドカップは、韓国をチキンの国にした立役者だと言える。
一般的にチキンはヤンニョムチキンとフライドチキンの二種類に分けられると思われがちだが、実はそうではない。衣(鶏肉にからめる生地で、小麦粉、片栗粉、天ぷら粉、水、塩などを混ぜて作る)の厚さによって二分され、分厚い衣のクリスピーチキンと薄い衣のエンボチキンがベースとなった。韓国人がよく食べるチキンは、この2種類から発展したものだ。
クリスピーチキンは、鶏肉に厚い衣をつけて揚げるもので、私たちが知っているヤンニョムチキンとカンジャンチキンは、ほとんどがこの方法で作られる。クリスピーチキン特有の分厚い衣は、タレを絡めてもサクサクとした食感をキープできるというメリットがある。さまざまなソースが使えるからか、クリスピーチキンは色々な流行りをいち早く取り入れることができる。一時期、チーズをふりかけたチキン、長ねぎの千切りを乗せたチキンなどが人気を博した。人気のお菓子の味をチキンに取り入れるなど、コラボメニューもしばしば登場する。
エンボチキンの代表格は「ハンマリトンダク(一羽丸鶏)」だ。サムゲタンにできそうな小ぶりの鶏に薄い衣をつけ、一羽丸ごと揚げる。サイズが小さい鶏なので、手頃な価格で味わえるのも嬉しいポイントだ。クリスピーチキンの一羽の値段で2羽を提供する「トゥマリトンダク(2羽の丸鶏)」メニューを前面に押し出す店もある。エンボチキンは、鶏皮のパリッとした食感が特徴で、揚げたてを食べやすいサイズにカットして、タレや塩につけて食べるとより一層美味しい。エンボチキンは、ソースを絡めるヤンニョムチキンの方法ではなく、ソースを別に提供するのはそのためだ。
テグ(大邱)では「砂肝天ぷら」もチキンから生まれた料理の一つとされている。砂肝は鶏類が持つ胃の一部で、食べられるように下処理をして使う。ちょっと聞き慣れない部位の砂肝は、鶏などの鳥類では歯のような役割を果たす器官だ。鶏は歯がないため、餌を丸のみするしかなく、食べたものが砕かれていない状態で消化器まで運ばれる。つまり胃の一部の砂肝が食べたものを砕くことになる。鶏は普段から土や砂を飲み込んでこの砂肝に貯蔵し、食べ物が入ってくると、土や砂の入った砂肝が栄養分を摂取しやすくする。
このような働きをする砂肝は、筋肉質になるので、歯ごたえのある食感を楽しむことができる。肉に比べて値段も安く、気軽に食べられるおつまみとしても人気が高い。砂肝天ぷらは、鶏肉のように揚げた後、様々な調味料を混ぜて作る料理だが、テグ(大邱)ピョンファ(平和)市場の横、タクトンチプ通りには砂肝料理を専門とするお店が集まっている。
チキンともっとも相性の良いお酒は、何と言ってもビールだ。中でも、韓国で主に販売されている清涼感のあるアメリカンラガースタイルのビールがチキンによく合う。韓国人はチキンとビールの組み合わせをそれぞれの頭文字を取って「チメク」と呼ぶ。テグ(大邱)では、トゥリュ(頭流)公園がチメクの聖地として数えられる。広い芝生が広がるトゥリュ(頭流)公園は、昔からテグ(大邱)の人々にとって定番のピクニックスポットでもある。
現在、全国各地に広がっているチキン店のフランチャイズのほとんどは、テグ(大邱)とキョンサンブク(慶尚北)道地域から発祥している。メキシカンチキン、メキシカーナ、チョガッチプヤンニョムチキンなど、1970~1980年代に人気を集めたブランドが代表格だ。今もキョチョンチキン、タンタンチキン、チョングギドゥマリチキン、ホシギドゥマリチキンなど、テグ(大邱)やその周辺地域で始まった数多くのフランチャイズ会社が全国を舞台に独自のレシピをもって多彩なチキンを提供している。
チキンの未来を見たいなら、テグ(大邱)に行ってみよう。夏ならなおよい。毎年夏になると、トゥリュ(頭流)公園一帯でテグ(大邱)チメク祭りが盛大に行われるからだ。テグ(大邱)チメク祭りは、夏を盛り上げるテグ(大邱)の代表的な祭りの一つだ。祭り期間中、トゥリュ(頭流)公園を中心に、テグ(大邱)発祥のチキンブランドが総出で、リーズナブルな価格で、なおかつ多彩な種類のチキン料理を販売する。チキンをより一層美味しく感じさせる冷たいビールも一緒に味わえる。