ソウルの中心地・中区（チュング）にある新堂洞（シンダンドン）。
ここ新堂洞は入り組んだ路地が網目のように広がり、路地裏には宝石のように輝く個性あふれるスペースがたくさんあるエリアです。1950年代に営業を始めた元祖コチュジャントッポッキの名店がある新堂洞トッポッキタウンや大小さまざまな伝統市場、常連さんでいつも賑わう老舗などがひしめき合い、いつ訪れても活気に満ちています。
いま流行りのショッピングモールのような雰囲気ではありませんが、さまざまなお店が軒を連ねノスタルジックな気分に浸れる新堂洞には、一昔前の韓国を直に体験したことがない若い世代の好奇心を掻き立てるものがいっぱいあります。
最近では今までになかったレストランやカフェが次々とここ新堂洞界隈にオープンし、レトロ感あふれる街に新たな旋風を巻き起こしています。今回はそんなソウルの新しいスポットとして注目されている新堂洞界隈にあるおすすめのホットプレイス5か所をご紹介したいと思います。

※おことわり：
本コラムでは行政区域としての新堂洞に隣接するエリアも含めて「新堂洞界隈」と表現し紹介しています。

CECILE & CEDRIC

ヴィンテージ感いっぱいのリビンググッズにガーデニング用品もあるお洒落なセレクトショップ・CECILE & CEDRIC（セシルアンドセドリック）。
ミントカラーが印象的な入口の扉を開けると、店内はまさに室内ガーデンを彷彿とさせるインテリアで訪れる人々を圧倒します。間口が狭いかわいらしいお店ですが、ハーブを入れたサシェ（香り袋）をはじめとしたファブリック製品から欧州風のヴィンテージ製品に至るまで、さまざまな品物が店内ところ狭しと並んでいます。
店名にもなっているセシルとセドリックはお店のコンセプトとなっている架空のカップルの名前で、このふたりをテーマに店内のさまざまなグッズが取り揃えられています。
何気なくお店に立ち寄って店内を巡ってみるだけでも楽しくなってしまう、そんな素晴らしい雰囲気のお店です。

SOSOO BOOK STORE

アートと文学をこよなく愛する方におすすめなのがここ、ブックカフェ・SOSOO BOOK STORE。
気に入った書籍を購入するとソフトドリンクがひとつ無料でお楽しみ頂けます。とはいえ必ず本を買わなければならないということではありません。名前と連絡先さえ記入すれば、本を無料で貸し出してくれるサービスも行っていますので、お気に入りの席に座って時の過ぎゆくままに思う存分読書が楽しめます。冊数は限られていますが洋書も配架されており、海外の方にも外国語で韓国文学に触れることができる素晴らしいスペースでもあります。

酒神堂

東洋の神秘が感じられる不思議な雰囲気のバーとしていま新堂洞界隈で人気なのがここ、酒神堂（チュシンダン）。
朝鮮時代の巫俗信仰（シャーマニズム）の巫女・ムーダンたちが現在の新堂洞辺りに村を形成していたことから、バー全体をお酒を祀る神堂（シンダン＝祠堂）と見立て、その名も「酒神堂」と命名し駅近くの雑居ビル1階にオープンさせました。
様々な植物やカラフルな照明で彩られた店内は「神々の森」と彷彿とさせます。バーの人気メニューは十二支から名前を取った12種類のカクテルで、バーテンダーに自分の好みを伝えると、お客さんにぴったりのカクテルをシェイクしてグラスについでくれます。グラスの下には十二支がデザインされたコースターが、そして各テーブルには小さな十二支の像も置かれており、座っているだけでも十分にその雰囲気を楽しめるスペースとなっています。
人気店だけあって入店まで待ち時間があることがありますが、韓国の順番待ちアプリ「テーブリング（테이블링）」で予約も可能で、アプリがない方も店内が満席の場合には店員さんが順番待ちの整理券を手渡ししてくれるのでご安心あれ。

MOSAIC

マニアックな人々が集うレコードショップとカフェを兼ねたお店といえばここ、MOSAIC（モザイク）。
毎週日曜日になると定期的に新たなLPレコードが150枚から200枚ほど入荷しますが、店員自らすべてのアルバムを試聴し寸評を書くほどの熱心ぶりで、ジャンルも韓国歌謡からジャズ、フォークミュージック、日本をはじめ海外のレコードに至るまで多種多様。
店員さんの並々ならぬアナログ盤に対する愛情が接客にも表れ、レコードをかけてことがないお客さんには、プレーヤーの掛け方からおすすめのアルバムまで教えてくれたりと至れり尽くせりの親身な対応をしてくれます。
音楽は万国共通の言語とよく言われますが、実はこのお店のオーナー、韓国語も流暢なフランス出身の方なので、外国からお越しの方も言葉の心配なくご利用頂けます。

LAB POTTERY

大都会ソウルのど真ん中にある新堂洞界隈ですが、土と触れ合うことができる陶芸工房があるということを知っている方は少ないはず。大都会の中で陶芸を楽しめるその場所とは、新堂駅から一駅、西へ行った東大門歴史文化公園駅近くにある陶磁器工房・LAB POTTERY。
一般的なお皿から、オリジナルデザインの陶器の小物まで、さまざまな焼物を制作することができます。ワンデイコースは粘土をろくろを使って陶芸作品を制作するコースで、およそ1時間半かかります。焼物として完成するまでには、乾燥・素焼きなど様々な工程を経ておよそ3週間から4週間ほどかかりますが、韓国に長期に滞在される方にはぜひおすすめの場所です。

※上記の内容は2023年5月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。