2023/08/30
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スンチョン
観光地
自然
デートコース
スンチョン湾国家庭園
暦はあと数日で9月。こちら韓国は猛暑の夏も峠を過ぎ、朝夕は少しずつですが秋の気配を感じる日も増えてきました。まだ秋の紅葉や花々を愉しむ時期まではしばらくありますが、韓国を旅するには気候の穏やかな初秋は絶好の季節です。中でも自然に囲まれた初秋の韓国を旅する方におすすめしたいところがここ、韓国南西部・全羅南道(チョンラナムド)順天(スンチョン)です。
順天は大韓民国で初めて国家庭園に指定された順天湾国家庭園や渡り鳥の渡来地・順天湾湿地を中心に美しい自然が広がり、韓国の秋の自然を満喫するにはもってこいのところです。
特に順天湾国家庭園は、今から10年前の2013年、順天湾国際庭園博覧会開催とともに造成された庭園で、順天湾湿地とともに韓国で人気の観光スポットの一つに数えられています。
10年ぶりに再び開催される2023順天湾国際庭園博覧会は順天湾国家庭園や順天市街地、順天湾湿地などを会場に2023年10月31日(火)までおよそ7か月という長丁場の会期で開催されます。30か国以上が参加する今回の博覧会には外国人来場者32万人を含む延べ800万人の入場客が見込まれ、前回10年前を上回る大規模なイベントとなります。
順天までは地方都市ながら交通アクセスが比較的便利で、首都ソウルからは龍山駅またはソウル駅からKTXに乗って順天駅まで最速およそ2時間半、仁川国際空港から直に順天に向かうなら、空港バスで光明駅または龍山駅まで向かいKTXに乗り換えて順天へ、あるいは空港鉄道でソウル駅まで向かいKTXに乗り換えるとスムースに行くことができます。
今回は今年10月いっぱいまで開催中の順天湾国際庭園博覧会のメイン会場・順天湾国家庭園をはじめ、自然と人々が共存する順天のさまざまな観光スポットを詳しくご紹介したいと思います。
順天湾国家庭園は2023順天湾国際庭園博覧会のメイン会場となる場所です。
順天湾国家庭園には特徴ある世界各国の庭園「世界庭園」が造成されており、ヴィクトリア朝を代表する庭園を再現し別名・チャールズ三世国王庭園とも呼ばれる『英国庭園』や、ベルサイユ宮殿をモデルにバロック時代の様式をモチーフにした『フランス庭園』など様々な世界の庭園をご覧いただけます。特に『韓国庭園』は、地形をありのままに生かす韓国古来の庭園様式を踏襲し素晴らしい風景となっている庭園で、訪れる人々の注目を集めています。
この他にも20を超える『テーマ庭園』や、国・自治体・企業・アーティストが参加して作り上げた『参与庭園』などさまざまなエリアがあります。
順天湾国家庭園はその敷地の規模が広大なため、どこから回ればいいか困ってしまいますが、東門がある『地球広場』を起点に、『国家庭園植物園』、『メタセコイアの道』、『夢の橋』、『順天湾湿地センター』、『子ども動物園』、『韓国庭園』の順に巡るコースがおすすめです。
また、水害を防ぐため雨水を一時的に引き込む貯留池を庭園に造り変えた『五泉(オチョン)グリーン広場』や、車中心から人・自然を優先するよう転換を図るべくアスファルト舗装の道を一面芝生が広がるスペースに生まれ変わらせた『グリーンアイランド』も注目で、ぜひ訪れて頂きたい場所です。
順天湾国家庭園には、癒しや健康に配慮した施設も充実、ペットと一緒に散歩をしたりピクニックを楽しむという通常の庭園の次元を超え、広大な素晴らしい風景の庭園の中に建つキャビンで一晩を過ごすガーデンステイ『Shilange』(쉴랑게=スィルランゲ=韓国語の休む(쉬다)とドイツ語の長く・十分に(Lange)を掛け合わせた造語)や、全長12kmを裸足で歩くことができる遊歩道『アーシング(Earthing)キル』などもあります。まさに2023順天湾国際庭園博覧会が描く順天の未来そのものが、ここ、順天湾国際庭園にはすでに現実のものとして存在しています。
この他にも、古の時代から順天は三つの峰と二つの川の流れが形作る「三山二水(サムサンイス)」の土地と呼ばれてきましたが、その「三山二水」をモチーフに作られた『国家庭園植物園』とデッキの歩道で繋がった『シークレットガーデン』もまた、ぜひご覧いただきたいスポットです。
順天湾国際庭園は夜も魅力的で、都会の摩天楼の風景とは違った素晴らしい夜景が辺り一面広がっています。順天東川(スンチョントンチョン)の川辺にある順天駅近くの東村テラスと順天国家庭園の中心・湖水庭園の間・2.5kmの区間には環境にやさしい電気推進生態体験船『庭園ドリーム号』が運航されており、船上から順天の川辺の夜景も眺めることができます。
順天湾国家庭園から順天湾湿地までさらに足を延ばしたい方は、環境に配慮した無人運転の個人用高速輸送システム(PRT)・スカイキューブがおすすめ。順天湾国家庭園内にある「庭園駅」を出発し、順天東川の右岸に沿って河口に向かって4.6km、およそ15分で「順天湾駅」に到着します。順天湾駅から湿地へは徒歩あるいはミニ観光バス・葦列車(カルテヨルチャ=スカイキューブ利用者は無料)に乗って向かいます。
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順天湾湿地は2260ヘクタールの干潟や540ヘクタールの葦原が広がるところ。順天湾の葦原は韓国で最も広大な面積を誇る葦原として知られ、葦が隙間なく生え、秋になると葦の穂が黄金色に色付き風に揺れる素晴らしい風景が広がります。また生態系としての価値も高く評価され、2021年には「韓国の干潟」の一つとしてユネスコ世界自然遺産に登録されました。
干潟にはハイガイやムツゴロウなどが生息し、ナベヅルやクロツラヘラサギ、コウノトリなど国際的にも珍しい絶滅危惧に瀕している渡り鳥たちも観察できます。
また順天湾湿地のすぐ近くにある順天湾自然生態館では順天湾の歴史とともに、生息する様々な生物についても知ることができます。順天湾駅(スカイキューブ)・文学館船着場~順天湾湿地船着場間1.2kmを行き来するルートや順天湾湿地船着場を起点に順天湾S字水路をぐるっと6km航行するルートの2コースがある順天湾生態体験船も運航していますので、海の上から順天湾の自然を満喫したい方にはおすすめです。
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楽安邑城(ナガンウプソン)は朝鮮時代の趣が今に残る城郭です。城郭の周辺にはおよそ230人の人々が今も暮らす伝統村で、韓国の古の住居様式や暮らしぶりが実感できるところです。
城郭の内側には大小さまざまな草葺き屋根の家が軒を連ね、のどかな光景となっており、日本でも大人気となった韓国の歴史ドラマ『大長今』(MBC・2003~2004年)をはじめ『雲が描いた月明かり』(KBS2・2016年)、『ミスターサンシャイン』(tvN・2018年)など様々な時代劇の撮影もここで行われました。
楽安邑城では、およそ20にも及ぶ一日常設体験プログラムを実施しています。その中でも材料費のみで体験できる天然染色体験や、木製の手枷(手錠)をはめたり、笞(むち)打ちの刑の時に使われた平たい棒・棍杖(コンジャン)で叩かれるユニークな体験ができる牢獄体験が特に人気です。
また、願いを紙にしたためるプログラムはどなたでも無料でお楽しみ頂けます。観光客の方々が願いを込めて書いた紙は毎年、旧正月後初めての満月・正月デボルムの日(旧暦1月15日)に願いが叶うようお焚き上げが行われます。
このほか、季節ごとに行われる民俗祭りも大変興味深いものがあります。毎年旧暦1月15日には、松明(たいまつ)をかかげ城郭を巡り、新年の安寧を願い疫病などを追い払うため松の枝や藁などを山のように高く積み上げた「タルチプ(月の家)」を燃やす正月デボルム(満月)の行事も行われます。
秋になると10月には綱引き、城郭造り再現、伝統婚礼式など様々なプログラムが体験できる民俗文化祭りが行われ、この時期には地元・順天の食材をふんだんに使った伝統料理フェスティバルも開催されます。
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松広寺(ソングァンサ)は新羅時代末期に開山した寺で1300年の歴史を誇り、海印寺・通度寺と並んで三宝寺刹と呼ばれる韓国仏教のルーツとも言うべき名刹です。由緒ある寺だけあって、韓国仏教の真理を会得するため外国人僧侶がしばしば寺を訪れるといいます。
近年では「映える」フォトスポットとしても注目され、松広寺で最も美しい場所として有名な三清橋(サムチョンギョ)の近くでは、常に観光客がスマホのカメラに松広寺の美しい風景を収めています。
また松広寺ではテンプルステイも行っており、韓国仏教を体験してみたい方にはおすすめです。
供養や礼仏などを体験し、寺の境内で憩いのひと時を過ごす、そんなゆったりとした時間を過ごすのもたまにはいいものです。テンプルステイは1泊から最大10泊まで可能で、洗面道具やタオル、水筒などの個人で使うものを持参すれば大丈夫です。外国人専用プログラムは設けていませんが、言葉は通じなくても、物静かな寺の一日を満喫できる、それがここ、広寺のテンプルステイです。
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臥温(ワオン)海岸は、若い人たちの間でここ数年、人気急上昇中のスポット。夕暮れ時の風景が特に美しく、素晴らしい写真が撮れると話題になっています。夕陽が沈む風景が素晴らしいところだけあって、海岸には展望台もあります。とはいえ、まだあまり知られていない夕陽スポットなので訪れる人は少なく、静かな雰囲気の中で、暮れてゆく夕陽の風景を満喫することができます。
臥温海岸には大きな干潟があり、ドライブや散策におすすめの場所。海辺にはあちらこちらはハート形の大きなオブジェがあるフォトゾーンなど「映える」スポットが数多くありますので、記念の一枚もお忘れなく。
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順天は全羅南道を代表する観光の街だけあって、観光客向けのシティツアーバスの路線も充実しています。路線はテーマごとに分かれており、都心ツアー・生態ツアー・歴史ツアー・世界遺産ツアー・夜景ツアーのすべてで五つのコースがあります。いずれのツアーもKORAIL全羅線・慶全線順天駅前を起点に再び同駅へ戻ってくるコースのため、行き帰りの列車に乗るにも便利です。
とかく順天の観光名所はそれぞれ距離のある場所に点在していることから、市内バスでの移動は一苦労。そんな時、順天シティツアーバスを利用すると時間も費用も節約でき、主な観光地を短時間で巡ることができます。人気コースの都心ツアーは循環型シャトルバスのように乗り降り自由な方式となっていますが、その他の生態ツアー・歴史ツアー・世界遺産ツアー・夜景ツアーは団体で各観光地を巡るガイド付きツアーとして行われます。
順天シティツアーバスはインターネットまたは電話で予約可能ですが、平日などは比較的余裕があることも多く予約なしでも乗車できることがあります。ただし週末や公休日、夏休みなどの繁忙期には定員オーバーとなることもあり、その際は予約された方を優先にご案内していますので、スケジュール通りの旅をお楽しみになりたい方は、事前に予約されることをおすすめします(外国人観光客の方は予約は順天駅観光案内センターで予約可能です)。
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* 上記の内容は2023年8月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。