2024/04/12
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韓国観光
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歴史_伝統
景福宮
韓国を代表する文化遺産・景福宮(キョンボックン)。朝鮮時代の正宮として建てられたこの王宮は、何世紀もの永い年月を経た現在でも、ビルがひしめく首都ソウルの中心で変わることなく、その威厳ある姿を現代の我々に見せてくれます。
この悠久の王宮・景福宮にほど近い西村(ソチョン)や北村(プクチョン)は、いま若いZ世代のホットプレイスとして注目を集めています。人気の体験・展示スペース、話題のレストランなどが数多くあるほか、由緒ある王宮の界隈ということもあり、韓国の人々のみならず海外から訪れる観光客の方々も、韓国の伝統衣装・韓服(ハンボク)を身にまとい、闊歩している姿もよく見かけます。
今回は、そんな景福宮界隈を、韓服で巡る小さな旅に皆さんをご招待したいと思います。
西村は景福宮の西側に接する町。国立古宮博物館の北側にある景福宮の西門・迎秋門(ヨンチュムン)をくぐり外へ出ると、目の前には西村の町が広がります。この西村は古の時代から著名な芸術家が住む町として知られ、朝鮮時代に遡れば、現在の1000ウォン札の裏に描かれた「渓上静居図」の作者でもある画家・鄭歚(チョン・ソン=1676~1759年)や朝鮮後期を代表する書家であり実学者・金正喜(キム・ジョンヒ=1786~1856年)が、近現代には韓国現代美術を代表する画家で日本とも関わりの深い李仲燮(イ・ジュンソプ=1916~1956年)や植民地下の詩人で「空と風と星と歌」などの作品で知られる尹東柱(ユン・ドンジュ=1917~1945年)も居を構えていました。そんな芸術が息づく町だけあって、路地裏にはこじんまりとした平屋の家々が軒を連ね、ソウル中心部の賑やかな雰囲気とは対照的に、何か懐かしさを感じさせてくれる町並みが続きます。ここ数年、古くなった建物を現代風にリモデリングし個性豊かなセレクトショップやギャラリー、カフェが続々誕生、西村は若い世代の人々が集まるエリアとして注目を集めています。
まず最初にご紹介する西村おすすめのスポットは『YOSIGO写真展:温かな休日の記録』『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』(Accidentally Wes Anderson・AWA)など個性的な展示で注目を集めているメディア&アート複合施設・GROUNDSEESAW 西村。
建物は2020年ソウル特別市建築賞で最優秀賞を受賞、それだけあって秀でたその建築の美しさは訪れる人々の視線を奪います。建物中央には池と庭園を配置、まさに森の中へ足を踏み入れたかのような静けさを感じられる空間で、非日常的な体験ができる場所として人気スポットとなっています。
GROUNDSEESAW 西村から紫霞門路(チャハムンロ)の大通りに出て北へ5、6分、途中横道に入り、入り組んだ路地へと足を進めると、縦長の小さな木製の立て看板が置かれた2階建ての住宅をリモデリングしたような建物が目の前に現れます。ここがフランスのブックショップ・Ofr(オー・エフ・アール)の韓国支店・0fr. Séoul。
お店の外観は至って普通の二階建ての一軒家といった雰囲気の建物ですが、お店の中に入れば店内は原書の本ばかりでなく小物雑貨がいっぱいで、若い世代を中心に人気となっているお店です。
平積みされた海外の珍しい原書をはじめ、ペンキがはがれた壁に貼られたポスター、そして整然と一列に掛けられたカラフルなエコバックなど、0fr. Séoulならではの個性豊かな雰囲気に誘われて、韓国のZ世代の若者たちがひっきりなしにやって来ます。オリジナル制作のTシャツ、かわいいアクセサリーやインテリア小物などさままざまなグッズがありますので、お土産にもおすすめのお店です。
0fr. Séoulから今度は先ほどの大通り・紫霞門路を渡って西側のエリアに行ってみましょう。
テオ書店はレトロな雰囲気漂う西村でも一世代前のアナログ感いっぱいの空間。店の屋号が見えなくなるほどペンキがはがれた看板、店主夫婦が長年使い込んできたオルガン、味噌や醤油などを漬けた甕が並ぶチャンドクテ、螺鈿細工を施した箪笥など、一昔前の懐かしい韓国の雰囲気を感じさせるもので埋め尽くされています。1951年、店主夫婦の名前の一文字ずつを取って店の屋号として開業したテオ書店には、以来70年以上もの間、様々な人が行き交い様々な人生模様が息づいてきた場所でもあります。
そんな雰囲気の魅力にひかれ、人気K-POPスター・IU初のリメイクアルバム『花しおり』(꽃갈피)のジャケット撮影もここで行われました。元々は書店でしたが、現在ではブックカフェとなっており、入口で飲み物を注文すると店内を見て回ることができます。
テオ書店の前の道を北へ2分ほど歩いていくと、右手に見えてくるのが100年の歴史を持つ西村エリア最大の観光スポット・通仁市場(トンインシジャン)です。
市場の入口をくぐると、どこからともなく漂う美味しそうな匂いで、食欲がそそられます。ここ通仁市場で有名な食べ物といえば、甘辛だれ・ヤンニョムを絡めたトッポッキを油を加えてフライパンで炒めて、外はサクサクっと、中はモチモチっとした食感が絶品のキルムトッポッキ(油トッポッキ)。煮込んで食べる通常のトッポッキとは、食感もヤンニョムの濃厚な味わいも異なり、病みつきになること間違いなし!
また朝鮮時代のお金を模した葉銭(ヨプチョン)をもって市場内のお店に行き、お弁当箱に好きなおおかずを買って入れて自分オリジナルのお弁当を作ることができる葉銭トシラクもありますので、お食事時間帯に市場を訪れる際にはぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
通仁市場では外国語による案内も充実していますので、海外からの観光客の方々も楽しく韓国の伝統市場をお楽しみいただけますので、是非ご訪問ください。
0fr. Séoul
テオ書店(대오서점)
北村は景福宮の北側に広がる町で、景福宮から歩いて気軽に行ける距離にあります。西村の町と比べ、昔ながらの伝統家屋・韓屋(ハノク)の町並みが残る地域で、あちらこちらに公園やカフェなどもあり、散策にもおすすめのエリアです。景福宮から北村へは、東門に当たる建春門(コンチュンムン)辺りあるいは景福宮敷地の北東側にある国立民俗博物館入口から歩いて行くと便利です。
北村といえば何といってもこの場所は外せません。それは北村韓屋村。
北村韓屋村は、朝鮮時代には王族や支配階層となっていた両班(ヤンバン)、高い官職にあった者などが住んでいた由緒ある町で、現在では地方でよく見られる大きな敷地に庭が広々と配置された韓屋ではなく、高い塀に囲まれ敷地の内側が見えないように建てられた都会でよく見られる韓屋が大部分となっています。
坂を下る途中にある北村八景の第六景がある路地からは、韓屋越しに南山ソウルタワーが見える素晴らしい風景も眺められ、絶好のフォトスポットとして人気があります。
ただし、北村韓屋村は人々が暮らしを営んでいる場所ですので、散策する際には静かに、そして敷地の中に無断で入らないよう配慮をお願いします。
景福宮から東へ、正読図書館、北村マウル案内所の前を通り過ぎ、斎洞(チェドン)初等学校前の交差点を左折し北へ。途中、NATURE REPUBLICの手前の路地を左手に曲がり韓屋が軒を連ねる坂道をさらに上っていくと、路地の左手に香しい匂いが漂う韓屋のお店が目に飛び込んできます。そう、ここが韓国のZ世代に絶大な人気を博している韓国発のフレグランスブランド・GRANHAND.のお店です。
この GRANHAND.は2014年、北村のお店をはじめソウル市内に8店舗を持つブランドで、中でもここ北村のお店は唯一韓屋造りの店舗となっています。
お店では香水をはじめ、ディフューザー、キャンドル、オイルなど様々なGRANHAND.オリジナルのフレグランス商品が販売されています。特に自社のフレグランス商品の香りを文学調の文章でエレガントに説明・解説していることから、訪れる人々の間で話題になっています。
店頭ではフレグランス商品のテイスティングもでき、自分に合った商品をお選びいただけます。また韓屋が軒を連ねる北村らしい商品もあり、韓屋に置いてある甕をミニチュアサイズにしたキャンドル・Bukchon Pod Candleが人気で、韓国を訪れた記念のお土産にもぴったりです。
国立現代美術館ソウルの裏手、景福宮から前出のGRANHAND.へ向かう途中の斎洞初等学校前交差点そばには、韓国の人々のソウルフード・クッパを異次元の旨さで味わうことができるお店があります。それは、ミシュランガイドソウル2024で「価格以上の満足感が得られる料理」を味わえるビブグルマンの栄光に輝いたテジクッパのお店・安岩(안암=アナム)。
通常、テジクッパというと白み、あるいは赤みを帯びたスープというのが定番ですが、安岩のテジクッパはスープの表面が緑色となっているのが特徴。それもそのはず、冬場はとても辛いことで有名な青唐辛子・青陽(チョンニャン)コチュやケール、夏場には青陽コチュやヒユの葉っぱで油をつくっていることから緑色を帯びているのだそうです。青物野菜から作った油だけあって香り豊かなクッパに仕上がっており、お好きな方はパクチーも追加で入れて食べると大変美味です。
テジクッパを食べたら今度はお口直し。食事の後に甘いデザートと珈琲を一杯、という方におすすめなのがここ、ソウル地下鉄3号線アングク(安国)駅前にある伝統家屋・韓屋を現代風にリモデリングしたベーカーリーカフェ・onion安国。
テラス席やテーブル席もありますが、韓屋の広々とした板の間・テチョンマルにある席が特に人気です。ベーカリーのメニューも充実、中でも人気なのは小豆餡とバターの味わいが絶妙なあんバターと、とがった先に粉砂糖がかかりビジュアルも逸品のパンドール(パンドーロ)。冷たいアイスアメリカーノやお店の自慢・ミルクティーとともにどうぞ!
GRANHAND.北村(그랑핸드 북촌)
安岩(안암)
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ちょっと耳寄りな情報!
●韓服を着て行くと、景福宮入場無料!
おすすめの韓服レンタルショップ
●2024年今年のゴールデンウイーク、ソウル五大王宮&宗廟へ行くなら宮PASSがお得!
* 上記の内容は2024年4月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。