2025/02/20
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秋(9月~11月)は、高麗人蔘の収穫時期だ。この時期にクムサン(錦山)国際高麗人蔘市場を訪れると、業者や一般客たちで非常に賑わっている。
チュンチョンナム(忠清南)道クムサン(錦山)地域は高麗人蔘の韓国最大の生産地として知られている。この地域にはクムサン(錦山)国際高麗人蔘市場、クムサン(錦山)生高麗人蔘センターなど、高麗人蔘や紅参、様々な韓方材料を扱う大規模な市場がある。市場周辺には高麗人蔘天ぷら、サムゲタン、韓定食などを専門とする飲食店が集まっている。
韓国で栽培される作物の中には、食材よりも薬の材料としての価値が高いものがある。高麗人蔘、ツルニンジン、桔梗の根などが代表的なものだ。これらは他の作物に比べて栽培期間がかなり長いという特徴を持つ。特に高麗人蔘は、6年以上育てなければ薬用としての価値が低い。丹精込めて収穫された高麗人参は、薬用または食用として広く利用される。
韓国では野生の高麗人蔘を「山蔘」と呼ぶ。高麗人参の栽培が本格的に行われる前の「高麗人蔘」は、つまり野生の状態の高麗人蔘だった。野生の高麗人参は希少で値段が高く、自然の状態で長年生育する必要があるため薬効が栽培の高麗人蔘より良いと言われている。
韓半島の高麗人蔘は、三国時代から周辺諸国に輸出されていた。百済人蔘、新羅人蔘という名前で呼ばれ、贈答品や交易品として人気が高かったという記事が『三国史記』、『買新羅物解』などに記されている。高麗時代になると、その交易量が飛躍的に増え、高麗人蔘の栽培を始めるに至った。山に高麗人参の種を蒔いて「山養蔘」を栽培したのだ。
朝鮮時代になると、畑で高麗人蔘を栽培するようになった。野生の高麗人蔘と山養蔘だけではまったく需要に追い付けなかったからだ。1541年(中宗36年)、プンギ(豊基)郡守に任命されたチュ・セブン(周世鵬)がヨンジュ(栄州)市プンギ(豊基)邑イムシル村の畑で高麗人蔘を試験的に栽培したのが高麗人蔘の畑栽培の始まりと言われている。
高麗人参を栽培するには、可能な限り自然での生育条件を再現することが重要なカギとなる。高麗人参は日陰でしか育たないので、日差しをしっかり遮る必要がある。昔は木の枝を編んで日陰を作ったが、現在は黒い布をかぶせて遮っている。韓国の田舎を通るとき、高さ約1mのところに黒い布が畑を覆っている場所を見かけたら、高麗人蔘を栽培していると考えてもほぼ間違いない。
高麗人参は北緯36~38度の地域でよく育ち、韓国の中部地域をはじめ、中国、日本、アメリカ、カナダ、ネパールなどで主に生産される。中でも韓国で栽培される高麗人蔘は、薬効が優れていることで知られている。高麗人参の薬効を測定する際に主要指標となるのが、サポニン類の含有量だが、これが他の地域のものに比べて2~3倍多い。
韓国の高麗人参の主産地は、キョンギ(京畿)道パジュ(坡州)、インチョン(仁川)カンファ(江華)、キョンサンブク(慶尚北)道プンギ(豊基)、そしてチュンチョンナム(忠清南)道クムサン(錦山)だ。中でもクムサン(錦山)は、高麗人蔘の流通の中心地でもあり、韓国における高麗人参の最大産地として知られている。全国最大規模の高麗人蔘卸売市場があり、市場周辺には高麗人蔘をはじめとする韓方薬特有の匂いが漂ってくるほどだ。市場の周りには高麗人蔘や紅蔘、各種薬材を扱う店が軒を連ねている。高麗人蔘卸売業者が集まるクムサン(錦山)生高麗人蔘センターを訪れると、4年根から6年根まで様々な高麗人蔘を購入することができる。
国連の食糧農業機関(FAO)は、2018年にクムサン(錦山)の伝統的な高麗人蔘栽培農業を世界重要農業遺産システム(通称、世界農業遺産)に登録した。世界農業遺産に認定されるには、食料安全及び生計保障、農業生物の多様性、地域的かつ伝統的な知識体系、文化・価値体系、社会組織、景観特性などを綿密に検討されるが、クムサン(錦山)高麗人蔘は、特に伝統性と環境にやさしい農法面で国際的に認められた。
上質な高麗人蔘を上手に選ぶためには、各商品の名称を正しく知る必要がある。生高麗人蔘は未加工の高麗人蔘で、白蔘は生高麗人蔘を乾燥させた後、体積を減らして保存期間を増やしたものをいう。白蔘は、曲がり具合によって直蔘、曲蔘、半曲蔘などに分けられる(味や栄養素の違いはない)。生高麗人蔘を蒸した後に乾燥させて赤くしたものが紅蔘であり、紅蔘を何度も蒸して乾燥させる過程を繰り返したものが黒蔘だ。
韓国の中であれば高麗人蔘の種類を自由に選んで消費することができるが、海外に持ち出す場合は加工品である紅蔘を購入する必要がある。紅蔘を選ぶときは、紅蔘以外の成分が少ないものを選ぶと良い。紅蔘成分が100%に近いほど価格が高く、効能にも優れている。
高麗人蔘を使った料理の中で最もポピュラーで万人受けする料理はサムゲタンだ。サムゲタンは鶏肉にもち米、高麗人蔘、ナツメ、栗、キバナオウギなど様々な薬材を入れてじっくり煮込む料理で、料理名の「サム」は高麗人蔘の「蔘」に由来する。クムサン(錦山)のサムゲタンには他の地域のサムゲタンに比べて高麗人参がたっぷり入っており、高麗人蔘の苦味が強くないので食べやすい。
- 材料:サムゲタン用の鶏1羽(500g前後)、もち米(100g)、高麗人蔘(1本)、ニンニク(6~8片)、長ネギ(少し)、サムゲタン用の韓方材料
①もち米は1時間ほど水に浸ける。
②きれいに洗った鶏のお腹に水に浸けたもち米を入れる。
③水1.5Lを沸騰させる。この時、サムゲタン用や鶏肉の水炊き用の韓方材料があれば一緒に入れて煮る。
④沸騰したらニンニクと鶏肉を入れて1時間30分弱火でじっくり煮込む。
⑤最後に長ネギを刻んで入れると完成。
クムサン(錦山)の伝統市場や高麗人蔘通り、高麗人蔘を扱う飲食店であればどこでも高麗人蔘天ぷらを味わうことができる。韓方材料を揚げて食べるという発想が奇抜だと思われるかもしれないが、高麗人参の風味をうまく生かしたレシピの一つといえる。揚げる前の高麗人蔘は苦味が強いが、揚げた後は甘味が増すからだ。チュンチョン(忠清)道地域の郷土料理の一つである魚粥には、高麗人蔘をすりおろして調味料のように使うこともある。高麗人蔘を抽出してつくった紅蔘キャンディーや紅蔘ラテなど、高麗人蔘のおやつも人気が高い。
クムサン(錦山)高麗人蔘館では、高麗人蔘栽培の歴史、高麗人蔘の主成分に関する説明、そして高麗人蔘料理に関する情報などを得ることができる。そしてクムサン(錦山)郡が運営するホームページ「高麗人参(https://www.geumsan.go.kr/jp/)※日本語、韓国語、英語、中国語、ベトナム語」にアクセスすると、高麗人蔘のその日の相場や情報について知ることができる。
クムサン(錦山)では、高麗人蔘をテーマにした2つの祭りが開かれている。7月開催のクムサン(錦山)サムゲタン祭りと10月開催のクムサン(錦山)世界高麗人蔘祭りだ。クムサン(錦山)サムゲタン祭りは、最も暑い「三伏」の時期に開催される。初伏、中伏、末伏が含まれる約20日間は暑さのピークで、韓国では夏の疲労回復のために強壮食品を食べる習慣があるが、サムゲタンは滋養強壮食品の代表格だ。高麗人蔘は、サムゲタンに欠かせない材料なので、高麗人蔘の主産地であるクムサン(錦山)では、2021年からこの祭りを開催している。
また毎年10月初旬、高麗人蔘の新芽が出る時期に開かれるクムサン(錦山)世界高麗人参祭りでは、クムサン(錦山)で高麗人参を栽培できるようにしてくれた山の神に感謝をささげ、豊作を祈願するための祭祀を行う。さらに高麗人蔘掘り体験、各種伝統遊戯など、様々なプログラムも用意されており、高麗人蔘直売所、国際高麗人蔘交易展、輸出商談会なども開催される。