2025/02/20
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カキは冬(11~3月)の冷たい海水温に耐えるため、体内に脂肪を蓄えるがこの時、味と香りも増す。
キョンサンナム(慶尚南)道トンヨン(統営)とコジェ(巨済)一帯には、カキの養殖場が点在している。特にトンヨン(統営)港は、その周辺で収穫したカキが集荷される場所でもあるため、カキ料理の専門店が多い。なかでもカングアン(江口岸)港の周辺にカキ料理専門店が集中している。
韓国では冬にカキを食べることが多い。主に「マガキ」を食べるが、紅葉が散る晩秋から花の咲く初春の間が旬と言える。厳しい冬をしのぐため体内に蓄積したグリコーゲンのおかげで、この時期のカキは特に旨みと香りが凝縮されている。
貴重な食材として扱われる欧米はもちろん、生産量が多い韓国でも、カキは高級食材とされる。カキの養殖が大量に行われている韓国では比較的お手頃な価格でカキを楽しむことができる。韓国のカキ生産量は32万6千トンで世界の生産量の5%を占めている。
相対的に海の面積が大きくない韓国でカキの生産量が多いのは自然環境に恵まれているからだ。南海岸と西海岸に荒波を防いでくれるリアス式海岸が広がっているが、これはカキの生育条件として非常に良い環境と言える。カキの養殖場の設置はもちろん、養殖環境の整備にも適している。おかげで面積に比べ生産量が多く、品質も非常に優れている。なかでもトンヨン(統営)とコジェ(巨済)の間に広がっている養殖場では韓国産カキの約80%が生産される。
韓国で流通されるカキの種類にはマガキ、イタボガキ、イワガキ、ポックル(サクラガキ)がある。マガキは主に養殖し、他は漁師や海女が天然の物を採捕して販売している。ちなみに韓国のカキ生産量の約80%以上を占めるのは、トンヨン(統営)とコジェ(巨済)の間で収穫した養殖産のマガキだ。
マガキは韓国人にとって最も馴染み深いカキでもある。養殖カキのほとんどがマガキで、大きさは大体8~15㎝程度。殻の輪郭は、左殻はやや丸く膨らんでいて、右殻は平らに近いが、個々によって違う。養殖される場所によって輪郭の形や大きさも違ってくる。主には干満の差が大きい潮間帯で生息することが多い。
殻が扁平なイタボガキは、チョンラ(全羅)道地域では「トックル」という名前で呼ばれる。外見はホタテガイに似ていて、大きさはマガキと同等か、もう少し大きい。収穫量が少なく養殖が難しい上、天然物もなかなかとれない。
希少価値でいうとイワガキも劣らない。比較的に深い海で生息するイワガキは、主に東海岸と南海岸の水深2~15m付近に生息する。潮下帯の岩盤に付着していることが多く、その大きさは20㎝前後もある。プロのダイバーでなければ採取が難しいため、かなりの高額で販売されている。イワガキの産卵期は9~10月だ。そのため産卵期直前の夏が旬の時期となる。イワガキは「夏に食べられるカキ」という希少性と大きいサイズ、韓国では養殖できないことが相まって、別格の高級食材とされる。
主にソムジンガン(蟾津江)の下流域で見られるポックル(サクラガキ)は、河と海が合流する汽水域に生息する。桜が咲く頃に収穫すること、水中で見ると花びらのように殻を開いていることからサクラガキと名付けられた。マガキに比べて大きいのもサクラガキの特徴のひとつ。サクラガキは海に生息するカキに比べ、磯の香りと塩の味がそれほど強くない。その代わり、柔らかい食感と旨みが魅力的な逸品だ。
カキは主に二つの方法で養殖する。垂下式と石蒔式だ。トンヨン(統営)でよく目にする垂下式は、ホタテの殻にカキの種をつけて海水に垂らす養殖方法だ。カキは自ら海水中の有機物をろ過して摂餌するため餌をやる必要はない。約2年間、カキの活動性を保障する方式なので、カキを大きく成長させることができ、生産量が多いのが長所だ。
石蒔式は干満の差がある海辺に石を並べてカキの幼生を付着させる養殖方法で、垂下式に比べてカキのサイズは小さいが、豊かな香りが特徴だ。カキは5~8月に産卵するが、海中を浮遊していたカキ幼生が0.4mmまで成長すると養殖場に並べておいた石に付着する。石にくっついた幼生は、そのまま成長していく。一日に2回は潮が出入りするため、岩に付着したカキは水面上に露出されることになる。その結果、生命力が弱いものは死に、生命力の強いものだけが生き残る。健康なカキ幼生が一定の大きさ以上に成長すると、養殖場に移してさらに1年間成長させる。このような過程を経て、幼生から販売できるサイズに育てるには約18か月がかかる。
トンヨン(統営)地域でカキ料理を取扱っている店のほとんどは、マガキの旬である冬(11~3月)にしかカキ料理を販売しない。まだ垂下式養殖で生産するカキの方がずっと多いからだ。その代わりに他の季節にはホヤビビンバ、アワビ土鍋など、別の海鮮料理を中心に提供される。マガキが出荷されない春から秋の間、冷凍カキを使う店もあるが、やはり生ガキの鮮度と味には比べ物にならない。
最近「サムボチェ(三倍体)カキ」の登場によって、一年中カキを楽しめる環境が整い始めた。しかし今のところはまだネットでしか買えない場合がほとんど。数年前、トンヨンにサムボチェ(三倍体)カキを取扱うオイスターバーができたことを機に、いつでもカキを食べられることが期待されている。
*サムボチェ(三倍体)カキとは?
マガキを遺伝子組み換えによって改良したもので、染色体を通常の2組より1組増やしたのが特徴だ。サムボチェ(三倍体)カキは産卵しないため、産卵のために消費されていた栄養分が成長に使われ、通常のカキよりサイズが大きい。産卵期に毒を持つこともなく、一年中を通して均一の味を楽しめるのが長所とされる。
カキの調理方法は次の3つが一般的。一つ目はカキのポサムだ。ゆで豚肉やキムジャンキムチと一緒に食べる料理。冬のキムジャンキムチの具にカキを混ぜ合わせ、白菜やサンチュにゆで豚肉と味付けしたカキをのせ、包んで食べる。
二つ目はカキ焼き、またはカキの蒸し物だ。カキの値段が高いヨーロッパやアメリカではなかなか見られない豪快な調理法だ。カキ焼きは、炭火の上に鉄板を乗せ、殻付きのカキをそのまま焼いて食べる。カキに火を通すと殻の口が開いてくるが、それでもう出来上がり。カキの蒸し物は家庭でも簡単に作れる。鍋にカキを入れて、数分間蒸すだけで完成する。両方とも殻付きのカキを調理するため、ケガしないように手袋を着用したほうが良い。完成したカキ焼きとカキの蒸し物は、酢コチュジャンに付けて食べるのが一般的だが、カキ本来の味と香りを楽しみたい場合には、そのまま食べるのがおすすめ。
三つ目はカキクッパだ。クッパは主に牛、豚、鶏のような肉を煮込んでだし汁を作るが、冬にはカキを入れたカキクッパも美味しい。カキと冬の海藻類にはタウリン成分が多く含まれていて、疲労や二日酔いの回復に効果的だと言われている。お酒を飲んだ翌日にカキクッパで酔い覚ましをすると、すぐ回復効果を発揮する。