2025/02/20
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ジャン(醤)は、長く熟成すればするほどおいしくなる食材で、食べる時期よりは作る時期が重要だ。ちなみに、その年に収穫した大豆や唐辛子の粉で作ると醤が青臭くなる。
スンチャン(淳昌)コチュジャンとスンチャン(淳昌)テンジャンは、すでに商品化され、全国どこでも簡単に購入できる。スンチャン(淳昌)伝統コチュジャン民俗村では、地域の職人が直接作ったコチュジャンを販売している。
韓国に唐辛子が伝わってから、韓国料理には大きな変革が起こった。唐辛子の粉が登場する前まで、キムチはただ塩に漬けた野菜だったが、唐辛子の粉が広く使われるようになり、塩辛を活用することで、現在私たちが知っているキムチとなった。コチュジャンも同じだ。唐辛子が伝わってから今のコチュジャンが生まれて販売された。これをきっかけにして、韓国人はキムチ、ビビンバ、トッポッキなどをよく食べるようになった。
コチュジャンは、でんぷんの原料によって味が変わる。基本材料は粳米で、これにもち米や麦などの穀物を追加することで、様々な味と食感のコチュジャンを作ることができる。もち米を使ったコチュジャンは、粳米だけで作ったものより自然な甘味があり、麦を使ったコチュジャンは、甘味はあまりないが風味が深い。
コチュジャンは料理や食材に色んな味を加えられる素晴らしいソースだ。ビビンバ、豚肉炒め、トッポッキ、和え物などの基本となるソースでもある。野菜など食材の味を引き立て、保存性を高める材料としても活用できる。代表的なものが「漬物」で、コチュジャンを使うと唐辛子、大根、ナムル、そして干しイシモチまで漬物にすることができる。
- 材料:水(5L)、麦芽の粉(500g)、もち米粉(2kg)、みそ玉麹の粉(1kg)、唐辛子の粉(3kg)、塩(1.5kg)、清酒(1カップ)
①麦芽の上水を作る:麦芽の粉を水に入れてよく混ぜる。水は麦芽の粉が完全に浸かるまでたっぷり入れる。水を入れた状態で2~3時間そのまま、麦芽から甘味が十分にじみ出るまで放置する。放置が終わると、目の細かい布や粉ふるいで麦芽の上水をこす。こす時は、上水だけをろ過して使う。
②もち米糊を作る:①の麦芽の上水にもち米粉を入れ、弱火でゆっくり煮る。この時は、粉が固まってダマができないように、よくかき混ぜる。もち米糊にとろみができ、どろりとするまで混ぜ続ける。出来上がったもち米糊は完全に冷ます。
③コチュジャンを仕込む:冷ました②にみそ玉麹の粉、唐辛子の粉、塩を入れて混ぜる。すべての材料がよく混ざるまでしっかりかき混ぜる。この時、清酒を入れると発酵が促進され、コチュジャンの味が一層深くなる。
④発酵する:壺*に③を入れて表面を平らにする。壺口に清潔な布をかけ、蓋を閉める。そのまま日当たりが良い場所に置き、3か月間発酵させる。発酵の途中、カビができる場合があるので、定期的に確認して除去する。清酒を少量かけて管理する方法もある。3か月経ったら、壺を日陰に移してコチュジャンを熟成させる。長く熟成すればするほど、コチュジャンの味は深く、マイルドになる。出来上がったコチュジャンは、冷蔵保管すると長く保存できる。
*壺の代わりに、ガラス瓶やセラミック、ストーンウェア、プラスチック容器を使うこともできる。仕込み用の容器は、蓋がしっかり閉まるものを使用し、コチュジャンを入れる前は、必ず沸かしたお湯で容器を洗い、乾かして消毒しておく。
コチュジャンの発酵と熟成で最も重要な材料はみそ玉麹だ。みそ玉麹は、大豆を発酵させたもので、発酵過程で「コウジカビ*」ができる。コウジカビはプロテアーゼとアミラーゼを生成し、これらの成分がコチュジャンの味の決め手になる。プロテアーゼはタンパク質をアミノ酸に分解し、アミラーゼはでんぷんを糖に分解する。二つの成分により生まれたアミノ酸と糖がコチュジャンのうま味と甘味を出す。とりわけ、アミノ酸の一種であるグルタミン酸は、コチュジャンの深い味を作るうま味を生成する。
*コウジカビ:アジア圏で広く利用される菌で、テンジャンやカンジャン、コチュジャンなどを作る時、マッコリのような濁り酒を作る時、発酵に使う。
みそ玉麹には乳酸菌や酵母も入っている。乳酸菌は糖を乳酸に変え、コチュジャンのpHを下げて酸味を出し、酵母は糖をアルコールと二酸化炭素に分解して病原微生物の成長を抑える。
コチュジャンを発酵する時は、温度と湿度も重要だ。発酵を助ける最適な温度は20~25℃だ。温度が低すぎたり高すぎる環境では、発酵速度が落ち、微生物をうまく生育できない。適量の酸素に露出すると、コチュジャンの味がさらに深くなる。ただし、露出しすぎるとカビの成長を促進するので、注意が必要だ。発酵が終わってからも、コチュジャンの味は深みを増す。微生物が活動を続けているからだ。
- 材料:大豆(1kg)、水(750mL)、塩(150g)
①大豆を水につける:大豆をよく洗い、10時間以上水につける。うまく吸水した豆は大きさが2倍になる。
②大豆を煮る:吸水した大豆を大きな鍋に入れ、豆がすべて浸かるまで水を入れる。まず強火にかけ、中火に変えて豆にしっかり火が通るように2時間以上煮る。豆がすぐつぶれるくらい柔らかくなったら、水から出して冷ます。
③大豆を潰す:冷ました豆を臼や潰し機で細かく潰す。豆を均一に潰すと発酵もうまくできる。
④形を整える:潰した大豆を固めて適当な大きさの塊を作る。大豆を1kg使った場合は、大きな塊一つにするか、いくつかに細分する。みそ玉麹の形は、六面体に作る時が多い。
⑤乾燥と発酵:みそ玉麹の塊を清潔な布で包み、風通しが良い場所で1~2週間乾かす。乾燥したみそ玉麹は、暖かく風通しが良い場所に移して2~3週間発酵させる。うまく発酵したみそ玉麹は、表面が黄色くなり、カビができる。
⑥(選択)塩水に浸す:水750mLに塩150gを入れて塩水を作る。この水に発酵したみそ玉麹を入れると追加発酵ができる。
コチュジャンは韓国各地で作って食されてきた調味料だが、「その中でもスンチャン(淳昌)のものが特に美味しい」という記録が残っている。1809年(純祖9年)、女性の実学者である憑虚閣・李氏が書いた『閨閤叢書」という女性用の伝統生活書物では、スンチョン(淳昌)とチョナン(天安)のコチュジャンを朝鮮全国の名物として紹介している。
それでは、スンチャン(淳昌)のコチュジャンが特別で美味しい理由は何だろう。その味の秘密は、コチュジャンを作る「時期」にある。
一般的にコチュジャンは秋に作る。天気が涼しくなる9月末から10月初の間は、その年の唐辛子を収穫して唐辛子の粉を作る適期だからだ。しかし、スンチャン(淳昌)は他の地域より少し早めの8月末から9月初にコチュジャンを作り始める。日照量が多く日較差が少ないスンチャン(淳昌)では、唐辛子を早めに収穫できるからだ。
コチュジャンを作る時期が異なると、醤類の基本材料である、みそ玉麹にできるカビも変わってくる。多くの場合、発酵したみそ玉麹には白いカビ(白麴菌)ができるが、スンチャン(淳昌)で作ったみそ玉麹には黄色いカビ(黄麴菌)ができる。コチュジャンを作る時期が他の地域より早いため、発酵時期が早くなり、自然と発酵にかかわるカビの種類も変わるからだ。スンチャン(淳昌)で作ったみそ玉麹にできる黄麴菌は、白麴菌よりタンパク質を分解する性能が優れ、甘味とうま味を一層引き出す。このように、コチュジャンを作る時期が早いため、スンチャン(淳昌)は韓国でコチュジャンの名産地になったわけだ。
スンチャン(淳昌)伝統コチュジャン民俗村は、1997年に造成されてから、韓国の醤類文化を率いる空間となっている。「大韓民国食品名人」であるカン・スノク名人をはじめ、数多くの生産者がこの村で醤類を作って販売している。
スンチャン(淳昌)伝統コチュジャン民俗村の近くにある「スンチャン(淳昌)発酵テーマパーク」は、大人から子供まで誰でもスンチャン(淳昌)の醤類文化を経験して楽しめる。コチュジャンとテンジャンをはじめ、韓国の醤類文化について学び、醤類を直接作ってみる体験プログラムにも参加できる。テーマパークの内にあるフードコートでは、スンチャン(淳昌)コチュジャンを入れて作ったトッポッキとチキンも味わえる。