2025/02/20
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ガンギエイは発酵させて食べるため四季を通して楽しめるが、冬を耐えるため脂がのる11~3月が特に美味しい。
チョンラナム(全羅南)道モッポ(木浦)には至る所にガンギエイ専門店がある。
「苦尽甘来」という四字熟語がある。「苦味を我慢すると、最後に甘味を味わえる」という意味だが、実際には「成功するためには苦しさを我慢する必要がある」との意味が込められている。ガンギエイについて説明する前に苦尽甘来に触れた理由は、ガンギエイを味わうためには、若干の苦しみに耐える必要があるからだ。
ガンギエイは、エイ目に属する海産魚で、チョンラナム(全羅南)道モッポ(木浦)でポピュラーだ。モッポ(木浦)は韓国でガンギエイのセリが最もたくさん行われており、インチョン(仁川)のテチョンド(大青島)で採れたものもモッポ(木浦)のセリ場で取り引きされるほどだ。
昔は、モッポ(木浦)よりナジュ(羅州)ヨンサンポ(栄山浦)がガンギエイで有名だったが、ヨンサンガン(栄山江)に河口堰ができた後、船路が閉ざされガンギエイの流通の中心がモッポ(木浦)となった。しかし、ナジュ(羅州)も依然としてガンギエイでの名声が高く、今もなお発酵させたガンギエイを提供する食堂がたくさんある。
ガンギエイはチョンラナム(全羅南)道の人々がよく食べる料理とされているが、韓国南部ではチョンラナム(全羅南)道シナン(新安)郡所在のフクサンド(黒山島)、北部ではインチョン(仁川)ウンジン(甕津)郡所在のテチョンド(大青島)など西海全域で採れる。中でも、最も有名なガンギエイは断然フクサンド(黒山島)産のものだ。フクサンド(黒山島)の周りで採れたガンギエイは、主にモッポ(木浦)の魚市場に仕入れられる。フクサンド(黒山島)からモッポ(木浦)までの直線距離は約100㎞だが、冷蔵庫もなかった時代に人々はどのようにガンギエイを木浦(モッポ)まで運んで販売したのだろうか。
フクサンド(黒山島)で採れた海産物をモッポ(木浦)港やナジュ(羅州)ヨンサンポ(栄山浦)まで運んでいた昔の人々が、たまたま長時間室温に放置され発酵したガンギエイを食べたことがきっかけで、その味を本格的に楽しむようになった。発酵させたガンギエイを提供し始めたのも、その当時からだろうと予想される。
ガンギエイが腐らない秘密はガンギエイの胴体にある。ガンギエイやアカエイ、サメなどの軟骨魚類は、体内に塩分が入りすぎる浸透圧を防ぐため、体液に尿素を含んでいる。ガンギエイが死ぬと、尿素がアンモニアとトリメチルアミンに分解されるが、この2つの物質がガンギエイを発酵させる。発酵させたガンギエイ特有の鼻を突く臭いと味の原因はここにある。
発酵させたガンギエイは韓国人でも好き嫌いがはっきり分かれる。初めて接する人々は挑戦する気持ちで食べてみる。ガンギエイの味に慣れると、さらに強烈な味を求めるが、その味に慣れていない人なら生のガンギエイがおすすめだ。発酵させていない新鮮なガンギエイは旨味があって誰もが気軽に食べられる。生のガンギエイはフクサンド(黒山島)の近くにあるホンド(紅島)、またはインチョン(仁川)で味わえる。
発酵させたガンギエイを食べる時、ガンギエイが発散する塩基性アンモニアを和らげてくれる食べ物を添えるとガンギエイをより一層美味しく食べることができる。熟成したキムチは酸味があり、ガンギエイのアンモニアの臭いを和らげることができる。また、豚肉が普及した後はゆで豚肉も加わり今の「ガンギエイのサムハプ」が誕生した。塩基性アンモニアを持つガンギエイに酸性のあるキムチ、また脂肪とタンパク質からなる豚肉を加えたガンギエイのサムハプはチョンラ(全羅)道を代表する珍味の一種とされている。
ガンギエイのサムハプの食べ方は以下の通りだ。まず、お皿にキムチを置いて、その上にガンギエイと豚肉を乗せる。好みによってニンニクや辛い唐辛子を一緒に食べることもある。ガンギエイのサムハプは一口で食べるのがポイントだ。切らずに一気に口に入れて味を確かめてみよう。最初は、ガンギエイのツーンとした味がするが、キムチがその味と臭いを和らげてくれる。続いて、コクのある豚肉の味と食感が感じられ味のバランスが取れる。ここでマッコリも飲むと、ガンギエイのサムハプの真髄を体験できる。
ガンギエイの刺身より難易度の高い料理がある。それは、ガンギエイのチヂミとガンギエイの天ぷらだ。発酵させたガンギエイを加熱すると、ガンギエイが発散するアンモニアが天ぷらの衣などにより遮られ、その中に濃縮されるため、アンモニアの臭いがさらに強烈になる。このような理由で、最初はガンギエイの刺身より食べにくいかもしれないが、噛めば噛むほどガンギエイ特有の香ばしい味と香りが魅力的に感じられる。
ガンギエイの肝にも食べ方がある。ごま油と塩を混ぜたタレにガンギエイの肝をつけて食べると香ばしい味が最高だ。ガンギエイの肝スープもあるが、加熱中にアンモニアが蒸発するため、強烈なにおいがなくなる。
カンウォン(江原)道の海岸では干したガンギエイやアカエイを蒸した後、カンジャンで味をつけて祭祀膳に供える。
ガンギエイとアカエイは一見、似ていて見分けづらいが、簡単に区分できる方法がある。ガンギエイは頭部が尖った形で、アカエイは丸い形をしている。ガンギエイとアカエイの稚魚を和え物にして食べたりもするが、西海の浦にある食堂で食べることができる。他の刺身の和え物とは違い、軟骨があるためコリコリした食感が特徴だ。発酵させずピリッとした味がしないため、ガンギエイとアカエイを初めて食べる人におすすめだ。