2023/11/03
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朝鮮第一の王宮であるキョンボックン(景福宮)のお隣の西村には、今でも昔の面影が残っています。そのため、誰でも朝鮮時代にタイプスリップしたような気分を味わうことができます。今日は、朝鮮国王になりきって旅してみるのはいかがでしょうか。袞龍の御衣を着て、王宮の特別な料理を味わい、社稷壇の祭壇やファンハクチョン(黄鶴亭)国弓場など、朝鮮国王の行列を辿ってみましょう。
朝鮮時代、国王が起床すると、家臣は衣冠を整えました。朝鮮の国王は、状況に合わせて様々な服を着ました。最も代表的なのは、普段まつりごとをする際に着た袞龍の御衣で、胸、背中、両肩に龍の紋様が金の糸で刺繍された丸い布が付いています。通常は赤色ですが、場合によっては青色の袞龍の御衣を着ることもありました。ここに、翼善冠(二つの翼が角のように立っている帽子)を被り、玉帯(玉を飾り付けた腰帯)をして、木靴(官服に合わせて履かれた革の靴)を履けば、朝鮮国王の日常の執務服になります。
ソウル地下鉄3号線キョンボックン駅4番出口前のサジクロ(社稷路)一帯には、袞龍の御衣を含む様々な韓服がレンタルできるお店があります。お店ごとに様々な韓服が用意されていて、袞龍の御衣、翼善冠、木靴だけでなく、王様が狩りや御陵に行幸する際に着た戎服まで揃っているところもあります。王妃が普段着ていた正服もレンタルでき、それに合わせて髪型をスタイリングすることも可能です。
袞龍の御衣を身に纏ったら、王宮に行ってみましょう。最初の目的地は、景福宮の正殿(中心となる建物)の勤政殿です。勤政殿は、王宮の重要な行事が行われた場所でした。家臣たちが国王に朝礼(朝の挨拶)を奉げた朝会も、ここで行われました。朝会は、大部分の家臣が参加する朝参と、少数の高官だけが参加する常参の2つがありました。通常、1ヶ月に4回ほど開かれた朝参は勤政殿で、ほぼ毎日開かれた常参は王様の執務空間である思政殿で行われました。朝参が開かれるときは、朝早くから参内した家臣たちが、自分の官職に当たる品階石のところに立って、国王に四拝礼(4回お辞儀する儀式)をして、王様からの命令を受けました。
勤政殿の月台(重要な建物の前にある広い基壇)の上からは、品階石が列をなして並ぶ朝廷が一望できます。朝鮮時代に国王が目にした光景も、これと似たものだったはずです。王宮をじっくり観る方法の一つは、王の目線で巡ることです。勤政殿月台も、王様の目線を体験できるスポットです。勤政殿の中は、華やかなタンチョン(丹青)の下に、国王の玉座があります。時々勤政殿の内部が開放される特別観覧が行われていて、景福宮ホームページから予約できます。
朝会に続いて朝講(朝の学び)を終えた国王は、朝水剌(朝ごはん)を食べました。王様の食事である水剌床は、勤政殿に近い王宮の台所「焼廚房」で作られました。王宮にはたくさんの人がいたので、台所がいくつもありました。その中でも、焼廚房が一番大きなものでした。焼廚房は、王と王妃の食事を作る内焼廚房と、宮中の宴会を準備する外焼廚房、お菓子や特別な料理を作る生果房に分かれていました。生果房は、王宮の家事を担当する六処所の一つで、「生物房」、「生ゴッ房」とも呼ばれました。
日帝強占期に撤去されて2015年に復元された焼廚房では、毎年上半期(4~6月)と下半期(9~11月)に「生果房体験プログラム」が開催されています。ここでは、『朝鮮王朝実録』の内容を基に、実際に朝鮮国王が食していた宮中餅菓と宮中薬茶を味わうことができます。9種類の生薬を使った餅の「九仙王道糕」をはじめ、薬菓、くるみの砂糖煮、梅雀菓などの宮中餅菓と一緒に、薑桂茶飮、蔘橘茶、甘菊茶、醍醐茶など珍しい名前の宮中薬茶がいただけます。詳しいメニューとプログラムはシーズンごとに異なるので、詳しい内容については国家遺産振興院ホームページでチェックする必要があります(要予約)。
生果房で体験した王室での暮らしをもっと深く知りたいなら、景福宮の中にある国立古宮博物館に行ってみましょう。ここでは、国王の玉座から王宮の屋根の「雑石」、王様専用の便器「メファトゥル」まで、王室の人々が実際に使っていた遺物を観ることができます。地下1階から2階まである展示室には、太祖イ・ソンゲ(李成桂)の御真(王の肖像画)から朝鮮最後の王スンジョン(純宗)の御車まで、朝鮮国王にまつわる遺物も多数あります。
正面から入ったところが2階です。ここから始まる観覧ルートは、1階と地下1階に続いています。展示の構造が比較的シンプルなので、気の向くままに観て回っても、主な展示品をくまなく観ることができます。2階の案内デスクでパンフレットをもらったら、すぐ隣の「朝鮮の国王室」から観覧を始め、7つの展示室を順番に巡るといいでしょう。展示室ごとに水準の高い朝鮮の王室文化が見られる遺物が多数あるので、十分な時間を割いて観ることをおすすめします。
朝鮮国王は大きな王宮の中で過ごしましたが、時には王宮の外にお出ましになることがありました。一番代表的なものは、チョンミョ(宗廟)や社稷に行って祭祀を執り行うための外出でした。儒教国家だった朝鮮王国で、宗廟と社稷は国そのものとされました。宗廟は歴代の国王の位牌を祀る祠堂を、社稷は土地神と穀物の神を祀る所を指します。「殿下、宗廟社稷をお守りください」という台詞が韓国の時代劇によく登場するのはこのためです。
景福宮から徒歩20分のところに社稷壇があります。社稷壇は、社稷に祭祀を奉げる祭壇です。そのため、社稷壇の中心には、建物ではなく祭壇があります。
「社稷壇」と鮮明に書かれた正門をくぐると、低い塀の四方に立つ紅箭門(ホンサルムン)が目に飛び込んできます。内側にはもう一つの塀があり、そこにも四方に紅箭門が立っています。王陵でも1つしか立てられない紅箭門が8つもあり、ここがそれだけ神聖な場所であることを物語っています。袞龍の御衣を着て祭壇の前に立てば、国と民衆のために礼を捧げた当時の王様の胸の内に想いを馳せることができます。
弓道は、朝鮮のソンビ(儒生)必修の教養であり、王室の家伝武芸でした。太祖イ・ソンゲ(李成桂)は、遠く離れた敵将の兜の端に矢を命中させるほど、弓の腕に長けていました。イ・ソンゲ(李成桂)の跡を継いだ王たちも、弓の腕に長けていただけでなく、家臣が弓を射るのを見物するのを楽しみました。ときには、家臣と一緒に弓を射る「大射礼」が開かれました。
弓道は、朝鮮のソンビ(儒生)必修の教養であり、王室の家伝武芸でした。太祖イ・ソンゲ(李成桂)は、遠く離れた敵将の兜の端に矢を命中させるほど、弓の腕に長けていました。イ・ソンゲ(李成桂)の跡を継いだ王たちも、弓の腕に長けていただけでなく、家臣が弓を射るのを見物するのを楽しみました。ときには、家臣と一緒に弓を射る「大射礼」が開かれました。
アクセス情報
[地下鉄] ソウル地下鉄3号線キョンボックン駅4番出口からスタート
周辺の飲食店・カフェ
土俗村サムゲタン:サムゲタン、丸鶏/ソウル特別市チョンノ区チャハムンロ5ギル5/+82-2-737-7444
テボクチプ:ロース焼き、テンジャンチゲ/ソウル特別市チョンノ区サジクロ137-9/+82-2-736-8029
タレグクス:いりこだし素麺、海鮮入りねぎのチヂミ/ソウル特別市チョンノ区チャハムンロ1ギル12/+82-2-720-2029
トンイドン・グクピングァン:韓牛カルビ焼き、ユッケ/ソウル特別市チョンノ区チャハムンロ2ギル17-4/+82-2-722-3833
ピッチャ・イテルリ・バンアッカン景福宮本店:ピザ、パスタ/ソウル特別市チョンノ区サジクロ113/+82-2-722-1832
ネジャタンコン:ピーナッツせんべい、生姜せんべい/ソウル特別市チョンノ区サジクロ111/+82-2-730-7239
ノックルッカジロンヒ:伝統茶、氷小豆/ソウル特別市チョンノ区チャハムンロ13ギル3/+82-2-736-6262
FOLKI:アメリカーノ、アインシュペナー/ソウル特別市チョンノ区サジクロ9ギル6/+82-2-722-0855
コーヒーハンジャン:アメリカーノ、ウィンナーコーヒー/ソウル特別市チョンノ区サジクロ9ギル16-1/+82-2-722-7022
トンインコーヒーコンバン・インスピレーション:アメリカーノ、メープルラテ/ソウル特別市チョンノ区サジクロ101/+82-2-733-9808
※上記の内容は2023年5月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。