2021/12/10
292
0
0
星明りに満ちた田舎町に抱かれた奇麗な韓屋永川・亀厓古宅
普賢山天文台が位置する永川は、星が美しい町だ。韓国天文研究院は、星が最もよく見える場所として永川・普賢山天文台を選んでいる。韓国が発見した13個の星のうち、12個がここで観測されたものだ。永川には、眠りを妨げる「光害」も煩わしさもない。永川を旅しながら静かな韓屋で星を鑑賞することができるなら、この上なく嬉しいだろう。安心な旅としても魅力的だ。
慶北永川市華南面亀湖里に位置した亀厓古宅は、ひっそりとした田舎の風景を楽しむにはぴったりな韓屋だ。垣根が低くて周りの風景がすっきりと広がる。最初から今のような姿ではなかった。墨軒公・曺命稷(チョ・ミョンジク)が朝鮮・英祖43年(1767)に亀湖里に移住し、世居地の基盤を設け、彼の末裔たちが47間の家を建てた。ところが、1988年に火災によって一部が焼失され、その後サランチェ(客屋)を復元し、ソスル大門を建立する補修を経て、今の姿になった。
亀厓古宅は、庭を中心にアンチェ(母屋)、サランチェ(客屋)、テムンチェ(門屋)がコの字型に配置されている。アンチェは、正面7.5間、側面1間の規模だ。大きな板の間を挟んで、クンバン(大部屋)とチャグンバン(小部屋)が向かい合っている。クンバンはチャグンバン二つ分の大きさだ。伝統的な形そのままのオンドル床は、韓紙を張って大豆油を塗っているので黄金色につやつやしている。韓紙を張った引き戸が両壁に付いている。陽射しが優しく差し込む左側の引き戸を開けると、庭の風景が目に入る。右の引き戸は、布団が整理されている押し入れだ。クンバンには心地の良い屋根裏部屋が付いている。クンバンの半分の大きさのチャグンバンは、二人が横になるのにぴったりの大きさだが、心地よい雰囲気が魅力だ。アンチェの最大の自慢は昔ながらの台所だ。大きな釜とかまどがある台所にテーブルを置いてティータイムを楽しめるようになっている、アンチェの宿泊客のための素敵なカフェだ。
サランチェもまたアンチェと同じように板の間を挟んでクンバンとチャグンバンに分かれる。二つの部屋の大きさや雰囲気は双子のように同じだが、クンバンは家の一番目上の人が使っていた部屋なのでそう呼ばれる。黄色がかった韓紙が張られた床には大きなポリョ(常用の敷布団)が敷かれている。壁には先祖代々使ってきた古風な飾り棚が立てられていて、陶磁器が並んでいる。韓紙を張った格子戸が昔ながらの雰囲気を引き立たせる。サランチェには広い現代式の台所が付いている。流し台と食卓、冷蔵庫まで備えられた台所なので調理に便利だ。
浴室付き一間のテムンチェの部屋は、カップルや友だちとペアで泊まるのにちょうど良い。サランチェ、アンチェ、テムンチェの庭からは低い垣根越しに山と野原がそのまま目に飛び込んでくる。
サランチェの裏には亀厓亭がある。亀厓亭は 朝鮮後期の学者、亀厓(クィエ)・曺克承(チョ・グクスン、1803~1877)を追悼するために彼の弟、逵承(ギュスン)が建てた。曺克承は、曺命稷の曾孫で、司諫院の司諫、司憲府の執義などを務めた。亀厓亭は、2013年に慶尚北道の民俗文化財に指定された。
独立した棟の 亀厓亭は、オンドル部屋2つと板の間1つ、そしてヌマル(高床式の居間)で構成されている。亀厓亭の客室は、かまどに薪で火を焚く伝統式のオンドル部屋だ。正方形の部屋二つは引き戸を開けるとつながるので、必要によっては一つの部屋として使うこともできる。板の間は、戸を開けて持ち上げられる昔ながらの部屋だ。戸を閉めると部屋に、戸を上げると四方が開かれた居間になる。ヌマルは池の方に構えている。池と六角亭が一望できるヌマルは、古宅の情趣と余裕を味わえる空間だ。池の真ん中には丸い島を作って、その上に六角亭を置いて、橋でつなげて風情が増している。池は垣根がない形だ。解放感溢れる亀厓亭では どちらに向けてカメラのシャッタを切っても、作品のような写真が撮れる。
亀厓古宅では、音楽会、料理教室、写真展などの様々な文化イベントを開催している。茶道、国弓、ユンノリ(すごろく)などの伝統体験プログラムも運営している。低い裏山を歩き回る静かな散策コースもある。
Nearby Tourist Destination
普賢山天文科学館
天文科学を体験しながら学べる施設だ。立体映像を見ながら風や振動まで感じられる5D映像館と、星を観測できる天体望遠鏡が代表的な施設だ。宇宙船の非常脱出を体験する仮想体験(VR)シミュレーター、真空の力を体験するマクデブルクの半球、宇宙船での動きを訓練するゲームまで、様々な体験が可能だ。
カレシル文化村
路地裏に美術作品を展示している村だ。ビョルビョル美術村とも知られている。大きな星一つを両手で持ち上げている子どもの造形物、シャボン玉を吹いている少女の壁画、玉で描いた山水画などは一つの作品であり、フォトスポットになる。村の入口にある小学校をリフォームしたシアン美術館では、レジダンス作家による展示が開かれる。