韓国の若い世代が選んだ伝統スイーツ
トレンドの最先端に現れたレトロブーム
韓国では最近、伝統菓子の一つ「薬菓」の人気が急上昇している。祖父母世代の好むファッションや食べ物が韓国の若い世代の間で流行っており、「ハルメニアル」(おばあちゃんを意味する方言「ハルメ」と「ミレニアル」の合成語で、祖父母世代の好みを追ってアレンジしたミレニアル&Z世代のトレンドを指す言葉)という新造語が登場した。薬菓の人気は、この「ハルメニアルブーム」のスイーツ版と言える。手作りの薬菓を買うために喜んで長蛇の列を作る韓国の若い世代。彼らの味覚を魅了した伝統的なスイーツ、いわゆる「ハルメニアル・スイーツ」には、どんなものがあるのだろうか。
伝統的なトクの新解釈、トクケーキ
トク(餅)は米を主食とする東アジアのほとんどの国で食べられてきたが、特に韓国では、コンビニや駅の売店でもすぐ見つけられるほど、おやつとして人気が高い。トクは満腹感が得られるため、食事の代わりになる食べ物というイメージや、もっちりした食感と甘さが伝統茶に合う昔ながらのスイーツという印象が強く、若い世代よりもミドル世代に人気の食べ物だった。
しかし最近では、若い世代にとってレトロがトレンドになり、トクを使ったフュージョンスタイルのケーキが人気を集めている。もっちりした普通のトクよりはふっくらとした食感の蒸し餅やシルトクなどでスポンジ生地を作り、クリームや様々なトッピングでデコレーションするトクケーキは、現代風にアレンジされているため、伝統茶だけでなく、コーヒーやエードなどカフェの飲み物とも相性抜群だ。
トクケーキの場合、最近若い世代の間で人気を集めている黒ごまや抹茶、カボチャなどのハルメニアル食材がトクと違和感なくマッチして若い世代の味覚を魅了している。その中でも、抹茶クリームがのったトクケーキと香ばしい黒ごまクリームが入ったロールトクは、老若男女問わず多くの人に愛されている。
全国のパン屋を紹介し、地域別にランク付けするテレビ番組『パンカーロード2』でトクケーキカフェが地域1位を獲得するなど、トクケーキの人気は現在進行形で高まっている。伝統的なトクとはまた違った魅力のトクが味わいたいなら、韓国の若い世代の流行を追ってトクケーキを食べてみよう。