2021/02/25
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トジョンさんプロフィール:
ソウルで働きながらネット上でブログ・Youtube・Webライター、そして翻訳家として幅広く活動。日本語媒体での記事多数。ブログ『韓国をゆく~ソウル在住のOL韓国生活~』(http://kankokuwoyuku.com)でさまざまな情報を発信中。
日本の国内旅行でもお寺巡りは人気ですよね。奈良・京都や鎌倉など、ガイドブックにはたくさんのお寺が紹介されています。どうして、お寺に行ってみたくなるのでしょうか。
韓国は日本に比べて自分自身がなんの宗教を信仰しているかを多くの人がはっきりと意識しています。そのため、韓国人の方から「宗教はなんですか?」と聞かれることが多いです。日本に住んでいると人に宗教を聞くことはほぼないですし、自分が特定の宗教を信じているという意識がはっきりしていないことがほとんどではないでしょうか。そのため、韓国でこの質問を受けた日本人の多くは「無宗教です」と答えたり、「一応、 先祖の墓がお寺にあるから仏教です。あとは神社にも行きます。」と答えたりします。
私も宗教に深く関わっているわけではありません。先祖のお墓がお寺にあるし、初詣や厄年は神社に行く程度。でも、お寺や神社に行くと落ち着くんです。長い歴史の積み重ねの中で日本人にはそんな感覚があるのだと思います。
さてそんなこともあり、長い韓国生活の中で癒しを求めてお寺に行ってみることが何度かありました。また、業務の関係で行くことになったりと気が付けば数多くの韓国のお寺を訪れていました。そこには、同じ仏教文化でも日本のお寺との違いが随所に見られます。 土地土地で風俗や習慣が違うということを「所変われば品変わる」と言いますが、今日は所変われば「寺」変わると題して、違いを楽しむ韓国お寺巡りをご紹介していきたいと思います。また地方の世界遺産のお寺も少し紹介します。各お寺の歴史や文化財の詳細については韓国観光公社ホームページの観光地紹介の各ページに紹介されていますのでそちらでご確認いただくことにし、この記事では、実際に訪れた際の雰囲気を気軽に楽しんでいただき、皆さんにも韓国のお寺に興味を持っていただくきっかけになったら嬉しいです。
※2021年2月現在、コロナウイルス感染症-19(COVID-19)感染拡大防止のため、境内への出入制限、飲食提供の中断、仏閣への立入ができないなど制限を行っている場合があります 。お出かけの際には公式ホームページ等で予めご確認頂きますようお願いいたします。

現地の空港に到着し、市内に向かう途中で車窓から眺める景色。その街の景色や人々の様子が次々と目に飛び込んでくる。どの国に行っても、この旅の始まりを感じる瞬間は嬉しさと好奇心とちょっとした緊張感がある特別な瞬間です。
韓国の場合、みなさんにとって印象的な景色はなんですか?立ち並ぶ高層マンションやハングルの看板、岩々がゴツゴツした切り立った山がところどころに見えるなどでしょうか。その中で、教会の十字架が街のあちこちにあるのが大量にあるのを印象的に思われる方も多いのではないでしょうか?
韓国は日本に比べてキリスト教系信者が多く、街を歩いているといたるところに教会や聖堂があることに気が付きます。でもお寺はどうでしょうか。韓国を訪れたことがある方はちょっと記憶を辿ってみても、街にお寺がなかったのではないでしょうか?だからと言って、韓国にも仏教徒が少ないわけではありません。なぜなのでしょうか。
韓国でも仏教は多くの人々に昔から信仰されていましたが、朝鮮時代に儒教を重んじ仏教を抑圧する動きがあったため、僧侶たちは人里離れた山へ行き信仰するようになったという歴史があると言われています。そのため、街にお寺があるということは珍しいことなのです。少数ではありますがどんなところがあるのでしょうか。
まず紹介するのが「曹渓寺(チョゲサ)」です。海外からの観光客に人気のソウルの仁寺洞(インサドン)にあるのでアクセスも抜群のお寺です。
仁寺洞の喧騒を抜けて進んでいくと、周辺は仏具を扱うお店が増えてきます。お寺に近づいて来ました。そして立派な色彩鮮やかなお寺の門に出会います。丹青(タンチョン)と呼ばれる赤、青、黄色、白、黒の五色で描いた華やかな文様はお寺や宮殿でみることができる韓国ならではのものです。
美しい門をくぐると、ソウル市有形文化財の本堂などがあります。規模は大きくはありませんが、本堂や大木、仏堂があり、観光客だけでなく現地の人も多く訪れ、お祈りをしている人もいれば、座って休憩している人もいます。ちょっとした公園のような気軽に入れる温かい雰囲気の癒しの空間といった感じです。
またこのお寺では訪れる人を楽しませる様々なイベントを行っています。次のお寺で詳しく紹介しますが、釈迦誕生日や写真にある蓮の花祭 、そして秋には菊祭りなどを行い境内を美しく彩っています。
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韓国はお釈迦様の誕生日である旧暦の4月8日を国民の祝日(公休日)としています。また、旧暦でその日をお祝いするため、陽暦基準で考えると毎年祝う日にちが異なります。そしてほとんどのお寺で盛大にこの日をお祝いします。日本では祝日にはなっていませんし、お寺によってはちょっとした行事を行う場所もあるという程度ではないでしょうか。お釈迦様の誕生日に注目してみてもこのような違いがあるわけです。
まず写真を見て、このカラフルさに驚かれる方も多いのではないでしょうか?どのお寺でもそうなのですが、釈迦誕生日の飾りつけはとんでもなく鮮やかなのです。今まで私が訪れたお寺の中で一番圧倒されたのは奉恩寺(ポンウンサ)です。こちらも先ほど紹介した曹渓寺のようにソウルの街なかにあるお寺で江南エリアにあり、観光地としてもアクセス抜群です。
ここは境内が広いため入口の門をくぐると比較的長い道が本堂のある場所まで続いています。その道を覆いつくす提灯!夜間はライトアップがされて写真のように美しいのですが、昼間もとても綺麗です。また提灯だけでなく、あちらこちらにねぶた祭りの小型バージョンのようなランタンがさらにお祝いムードを盛り上げています。ぜひ一度は見てもらいたい韓国の春の風景です。
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冒頭で紹介した通り、韓国のお寺は山の中(もしくは高台の土地)にあることがほとんどです。韓国らしさを楽しむならその様なお寺にもぜひ行ってみたいところです。ソウル都心から行きやすいお寺は華渓寺(ファゲサ)や吉祥寺(キルサンサ)などいくつかありますが、今回は何度か足を運んだ京畿道(キョンギド)南楊州市(ナミャンジュシ)にある仏岩寺(プラムサ)を紹介したいと思います。
観光地のお寺ではないので、ローカルさを楽しむことができます。私はいつもソウル市内から路線バスで最寄りの停留所まで行き、そこから歩いてお寺に向かいます(実際は電車の最寄り駅からタクシーで向かう方が分かりやすいと思います)。急な上り坂を登っていくと、途中に大きな山門が現れます。山中にあるお寺に向かうと、いつも山門があり、そこからさらにさらに奥に進んでいくと境内が現れるお寺が多いです。山の中のお寺は景色も空気もよく、静けさにも心が洗われる心地です。
また、韓国のお寺文化で私が驚いたのは、お寺によっては施しとして誰でも無料で食事をいただけるのです。ここ仏岩寺では、日曜日に食堂に行き列に並ぶと韓国料理のビビンパをくださいます。お寺なのでお肉が入ってなく、また修行の妨げになるという刺激的なにんにくなどを除いた仏教の教えに基づいたビビンバです。施しですので、食後のお皿洗いは設置された流し台で自分で行うのですが、とてもありがた~い一食です。お賽銭をするところがあるので、気持ちとして少し入れていくのもいいでしょう。ここで食事をしてみるのも異文化体験として楽しいと思います。
境内は仏像を拝んだり自由に拝観できますが、ぜひ本堂にも入ってみてください。韓国では漢字で「大雄殿」と掲げてある建物が本堂にあたります。靴を脱いで入るとお参りをしている方々がいらっしゃいますが、ここでまた違いに気が付くと思います。それが礼の仕方です。日本のお寺では立ったまま両手を合わせて礼をすることがほとんどですが、韓国は言い方が悪いですが土下座のように深く礼をするのを繰り返します。本堂に座布団が並べてあるので、他の韓国の方を見て真似をして参拝してみるのもいいですよ。少し間違っていても仏さまは暖かく見守ってくれるはず!
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ソウルとその近郊の寺院を紹介しながら韓国と日本のお寺の違いに着目してきましたが、地方のお寺もぜひ行っていただければと思い、少しですが紹介します。地方にも多くの魅力的なお寺がありますが、ユネスコ世界文化遺産のお寺はやはり見ておきたいスポットでしょう。今回は「海印寺蔵経板殿」と「石窟庵・仏国寺」を見て行きましょう。(韓国のユネスコ世界文化遺産)
海印寺(ヘインサ)は、 慶尚南道(キョンサンナムド)の伽耶山(カヤサン)という山の奥深くにあります。最寄りのバス停からお寺までの道のりは、舗装はされていますが林の中。境内に向かってゆっくりと歩いていく過程で心が癒されていくのを感じます。お寺全体の雰囲気ももちろん素晴らしいですが、なんといっても大蔵経板殿。短い急な階段をのぼり中に入ると格子の隙間からずらりと並ぶ八万大蔵経を覗き見ることができます。格子の間から覗くだけしかできませんが、その存在感に息を呑む瞬間です。 まさに一見の価値あり。
次に仏国寺(プルグクサ)ですが、慶尚北道(キョンサンプクド)の慶州(キョンジュ)にあります。慶州は新羅時代の古都として栄華を極めていたことで歴史的な建造物が多く残されており、韓国の修学旅行先としても人気の京都奈良のような存在です。やはり山にありますが、長年に渡り団体旅行の観光地として人気のため海印寺よりはアクセスがしやすく開けた印象で日本で言う清水寺のようなイメージでしょうか?特に私が訪れた際はここでも釈迦誕生日の頃であったため、お祭りのような明るく活気ある雰囲気。慶州は見どころが他にも多いので、ぜひ一度泊りがけで旅をしてもらいたいスポットです。
いかがでしたでしょうか?日本の仏教文化との違いも楽しめ、そして世界遺産もある韓国のお寺!見どころ満載です。この記事で韓国のお寺に興味を持っていただけたら幸いです。実際に訪れてみるとまだまだ新しい発見があるかもしれませんよ?
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※本コラムは執筆者の個人的見解であり、弊社・韓国観光公社の公式見解を示すものではありません。
※上記の内容は2021年2月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。