2024/09/10
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餃子スープ
トックク
餃子
餅
チャプチェ
旧暦8月15日の秋夕(チュソク)、旧暦1月1日のソルナル…日本の「節句」に当たる韓国の名節(ミョンジョル)の時期には、家族みんなが集まり、名節ならではの料理を作って先祖を祀る祭壇にお供えする文化があります。名節料理は単に料理というだけにとどまらず、家族総出で料理を作り、家族の結束を再確認する役割も果たしています。実りの秋への感謝、長寿祈願、財物に恵まれ豊かになるよう、それぞれの料理に、様々な思いを込めているという点でも意義深いものがあります。
今回は秋夕を目前に控え、韓国の名節の時期に韓国の人々が食する様々な料理をご紹介したいと思います。
韓国では秋夕や旧暦1月1日の旧正月・ソルナルになると様々な種類の煎(チョン/ジョン=チヂミ、プチムゲ、プッチムゲ)を作ります。煎は煎専用の粉・プチムカルを水で溶き、具材に溶き粉をまぶして焼いたり、または溶き粉の中に具材を入れてホットケーキのようにして焼いて作ります。
秋夕やソルナルなど名節の時期には様々な具材の煎を作りますが、中でも代表的なものは、キムチジョン・ヘムルパジョン(海鮮とねぎのチヂミ)・コギワンジャジョン(豚肉団子のチヂミ)・コチジョン(串刺しチヂミ)・カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)などがあります。
名節の時期以外に煎を食べたい方は、美味しい煎が食べられるお店が軒を連ねる「ジョンコルモク」(煎通り)がおすすめ。
ソウル地下鉄1号線フェギ(回基)駅前交差点の南のエリアにある回基駅パジョン通り(회기역파전골목)は、さまざまな海の幸やねぎをふんだんに使い焼き上げたヘムルパジョンで有名です。
また、ソウル地下鉄5・6号線や空港鉄道・KORAIL京義中央線の乗換駅となっているコンドク(孔徳)駅のそばには麻浦煎通り(마포전골목)があり、さまざまな種類の煎や揚げ物などが手ごろな値段で食べられ、いつも多くの人々で賑わっています。
「韓国地図」で確認!おすすめソウルの「ジョンコルモク」(煎通り)
韓国で秋夕やソルナル(旧正月)、お祝いのときなどに必ず出てくる一品といえばこれ、チャプチェ。漢字で表記すると「雑菜」と書きます。
千切りにした人参やシイタケ・タマネギなど様々な野菜や細切りの肉を炒めておき、サツマイモなどの澱粉で作ったタンミョン(唐麺=春雨)を水で戻し茹でた上で、予め炒めておいた野菜と肉を加え、醤油などの調味料で味付けし調理します。チャプチェは一見簡単に作れるように見えますが、チャプチェに入れる具材は下茹でしたり軽く炒めたりして下準備する必要があり、意外と手がかかる料理です。チャプチェを作る家族の横で、小さな子どもが出来たばかりのチャプチェを少し分けてもらって味見をする、そんな光景も名節ならではです。
挽肉に野菜・キムチなどを加えた餡を小麦粉で作った薄皮で包み、蒸し器で蒸して作るマンドゥ。韓国の街を歩いていると店頭で蒸し器から湯気が勢いよく上がり、おいしそうな蒸し餃子の匂いが漂ってくる、そんな光景に出くわした方も多いかと思います。
マンドゥはその調理法により様々なバリエーションがあり、蒸し器で蒸しあげてそのままいただく蒸し餃子・チンマンドゥをはじめ、出汁の味わいが効いた温かな白いスープにマンドゥが入ったマンドゥクク、鉄板で焼き上げた焼き餃子・クンマンドゥや油で揚げた揚げ餃子・ティギムマンドゥなど多種多彩。
韓国を代表する名節・旧暦1月1日のソルナルの朝、家族で食べるトッククにもマンドゥを入れてトクマンドゥクク(写真参照)として食べることがあります。すっきりとした調和の取れた味わい、そして餡を包んで食べるマンドゥが福を包んで食べるということにつながることから、古の時代から新年の安寧を願うソルナルの時期に食べるようになったと言われています。
マンドゥの名店は韓国全国にあり、『ミシュランガイドソウル2024』にも紹介されたソウルの「紫霞(チャハ)ソンマンドゥ」はすっきりとした味わいのマンドゥクク、江原(カンウォン)特別自治道原州(ウォンジュ)にある「原州キムチマンドゥ」は刻んだ白菜キムチ・ペチュキムチがたくさん入ったキムチマンドゥ、そして大邱(テグ)にある「ミソンダン」はタンミョンとニラだけが入ったぺちゃんこ焼き餃子・ナプチャクマンドゥで有名なお店です。韓国を旅して見かけたら、地元名物のマンドゥを食べてみるというのもいいかもしれません。
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韓国の人々はソルナルになると、新年の願いを祈り、目上の人に新年のあいさつ・歳拝(セベ)を行い、家族一緒にトッククを食べます。
地方によって多少の違いはありますが、一般的には牛肉の出汁に長く細い餅・カレトクを楕円の形に薄く切った餅を入れて煮込み器に盛り、最後に錦糸卵や刻み海苔など加薬(かやく)を加え、見た目にも食欲をそそるトッククが完成します。
真っ白な餅は、万物が新たに始まる日に一点の曇りもないまっさらな状態でなければならないことを象徴しており、またトッククに入る餅・カレトクは長く細いことから長寿を、そして餅を切った形は小銭のような形をしていることからお金に困らず裕福になるよう、それぞれ願いが込められています。
そんな思いが込められたトックク、韓国の人々がソルナルの日によく「トッククをまたもう一杯食べた」と語るのは、数え年で歳をまた一つとったという意味でもあります。
秋夕と聞いて、まず思い出す食べ物といえば一口サイズの小さなお餅、ソンピョン。
韓国の人々は豊穣の秋を祝って収穫したばかりの穀物でソンピョンを作ります。秋の収穫に感謝し、祖先を祀る祭壇・茶礼床(チャレサン)にもこのソンピョンをお供えします。
家族みんなが集まり、半月の形をしたソンピョンを作り、みなが幸せになるよう願う徳談(トクタム)を交わすというのが昔ながらの秋夕の光景でしたが、今では自宅で作らずお店で買ってきたもので済ますことも多くなりました。
ソンピョンは今年収穫されたばかりの新米で餅を作り、その中に豆・小豆・胡麻・栗など様々な餡を入れ蒸し器で蒸して作ります。このとき松の葉を一緒に入れて蒸すので、ほのかな松の香りがするお餅になるのが特徴です。
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※上記の内容は2024年9月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。