本格的な春の陽気となり、日一日ごとに暖かくなってきた韓国。この時期の韓国は晴天の日が続き、散策には絶好の季節となります。躍動感あるソウルの街を闊歩するのもいいですが、このコロナ禍の時節柄、ソーシャルディスタンスは取りたいもの。
そんな時期だからおすすめしたいのが、ソウルの歴史や文化、そして自然に触れることができる「ソウル漢陽都城(ハニャントソン)」です。
朝鮮時代の足跡を後世に伝える城郭・漢陽都城。今回はソウルの歴史を学び、心もカラダもリフレッシュできる癒しの散策路・ 漢陽都城を巡る小さな旅に皆さんをご招待します。
※2021年4月現在、コロナウイルス感染症-19(COVID-19)感染拡大防止のため、今回ご紹介する各公園・施設の一部が閉園・室内施設への入場制限等を行う場合があります。 お出かけの際にはホームページ等で予めご確認頂きますようお願いいたします。
ソウル漢陽都城は朝鮮王朝の都・漢陽(ハニャン=後に漢城と公式に改称するも漢陽の名称も併用)を取り囲む城郭。
東は仁王山(イナンサン/インワンサン)、西は駱山(ナクサン)、南は南山(ナムサン)、北は白岳山(ペガクサン=北岳山[プガクサン])の稜線に築城され、総延長は18.6kmに及びます。
ソウル漢陽都城の散策コースは現在、六つのコースがあり、それぞれ白岳区間、駱山区間、興仁之門区間、南山(木覓山)区間、崇礼門区間、仁王山区間のコースが整備されています。
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崇礼門(スンネムン)区間は高いビルが建ち並ぶソウル中心部にあり、ソウル漢陽都城の西側に当たる区間です。城郭の西南・南山の北西の麓にある白凡(ペクポン)広場から崇礼門(南大門)を経て敦義門(西大門)址に至る城郭が崇礼門区間に該当します。
この区間はソウルの市街地にあることもあり、20世紀初頭、都市化の波により相当部分の城壁が壊されてしまいました。肉眼ではなかなか確認できない城壁が崩れた場所や復元され元々の姿を取り戻した城壁を追って歩くと、城壁の近くに旧米国公使館や学校、教会など近代文化財の姿も発見できます。
このコースにある崇礼門、通称「南大門」は、ソウルのシンボルともいえる建造物で、大韓民国の国宝に指定されています。
この崇礼門から漢陽都城沿いを散策したい方は、ソウル地下鉄4号線会賢(フェヒョン)駅5番出口から南大門市場を横切っていくと近道です。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
興仁之門(フンインジムン)区間は漢陽都城の東側にある興仁之門(通称「東大門」)を起点に、南方の二間水門、南東方向にある光熙門(クァンヒムン)を経てソウル地下鉄3号線東大入口駅近くにある奨忠(チャンチュン)体育館付近に至る区間です。
漢陽都城沿いの散策路からすぐそばには東大門デザインプラザ(DDP)や東大門市場、平和市場、芳山総合市場など数多くの観光スポットもあります。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
漢陽都城の東側に当たる駱山(ナクサン)区間は、城郭の北東方向・大学路(テハンノ)の北東の漢城大入口駅近くの大通り沿いの小高い丘の上に建つ恵化門(フェファムン)から漢陽都城東側にある興仁之門(東大門)に至る区間で、はじめて漢陽都城沿いの散策にチャレンジする方にもおすすめのコースです。 駱山コースの周囲にはこじんまりとした「城郭村」と言われる町が数多くあり、中でも自然景観が素晴らしい長寿村(チャンスマウル)や、町中の至る所に描かれた壁画が印象的な梨花(イファ)壁画村はおすすめの観光スポットです。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
南山(木覓山)コースは漢陽都城の南側にある南山を東西に横断するコース。
漢陽都城の東南にある奨忠体育館を起点に南山の北西の麓にある南山図書館近くの白凡(ペクポン)広場へ至る4.2km、およそ3時間ほどの散策路となっています。
南山コースの途中には、海外からの観光客に人気の南山ソウルタワーをはじめ、南山八角亭、南山ケーブルカーなど数多くの観光スポットがあり、見どころたくさんの楽しいコースとなっています。
陽気が暖かくなってくる春から初夏にかけては散策路沿いに緑が生い茂り、散策に絶好の季節となります。特に奨忠体育館裏手の緑生い茂る散策路は気分転換にもってこいのおすすめの場所です。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
仁王山コースは漢陽都城の西にある大門・敦義門(西大門)址から西北方向にある小門・彰義門までの区間です。急峻な仁王山に登るとソウル中心部の風景が一望できます。
仁王山には巨大な岩が聳えるソンパウィ、標高339.8mの仁王山山頂のすぐそばにあるチマパウィなど奇岩怪石と呼ばれる岩山が多く点在し、風光明媚なところとして知られています。
仁王山から下ってくる先には、美術館や人気のカフェ・レストランなどが数多くある観光スポット・付岩洞や景福宮の西側に韓屋の建物が軒を連ねる通称「西村(ソチョン)」と呼ばれるエリアなどもあり、山登りの後に観光もお楽しみいただけます。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
白岳区間は漢陽都城の西北にある小門・彰義門から白岳山(北岳山)を越え、北東方面にある小門・恵化門までの区間です。漢陽都城の中で最も標高の高い場所にあることから景色が美しく、登山愛好家に人気のコースとなっています。
【コース詳細についてはソウル特別市「ソウル漢陽都城」ホームページ(日本語・韓国語・英語・中国語)の『城郭散策のご案内』にある地図(韓国語・英語併記)をご覧ください】
長い風雪に耐えてきたソウル漢陽都城ですが、年月の経過とともに風化現象が起きています。現在では石積表面や石材を補強したり、金属でできた支えを設置するなど、風化した城石の保存処理を施し文化財の保護にあたっています。
漢陽都城コースを散策しながら、他の城郭の城壁と比べて観察してみると漢陽都城を巡る楽しさも倍増します。
ソウル漢陽都城に初めてチャレンジする方におすすめなのがこちら、恵化門から興仁之門(東大門)まで続く駱山区間のコース。なだらかな道、上り坂の山道、路地など変化に富んだコースながらも歩きやすいコースで、ソウル漢陽都城初心者の方におすすめです。
駱山区間はソウル大学路に近い恵化門から始まりますが、歩き始める前に恵化門のそばにある漢陽都城恵化洞展示・案内センターにまずは立ち寄ってみましょう。ソウル漢陽都城の散策路を一望でき、またパンフレットなども手に入ります。パンフレットは日本語をはじめ英語・中国語による外国語版もあります
駱山区間の近くには梨花村(イファマウル)、漢陽都城博物館といった観光スポットがあります。
梨花村は別名・梨花壁画村とも呼ばれ、町のあちらこちらに美しい壁画があることで有名な場所で、ギャラリーや博物館、カフェなどもおよそ30軒ほど軒を連ねています。
駱山区間のコースの終わりに近い、興仁之門(東大門)近くの東大門城郭公園内にある漢陽都城博物館は、およそ600年に及ぶ漢陽都城の歴史や文化遺産としての価値を知ることができる施設となっています。
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半日ほど時間に余裕があれば、南山(木覓山)区間にチャレンジしてみましょう。この南山区間の道すがらには南山ソウルタワーなどの有名観光スポットをはじめ、韓国の人々が愛してやまないチョッパル(豚足)、緑豆を挽いて作ったお焼き・ピンデトクなど美味しいグルメも楽しめる奨忠洞豚足通りもあります。
南山ソウルタワー前の広場から歩いてすぐのところにある木覓山烽燧台址も南山(木覓山)区間コースにある人気観光スポットのひとつ。
木覓山烽燧台址は都・ソウルにあったことから京烽燧(キョンボンス)といわれていました。山頂にのろし台を置き、煙や火を焚き急を要する情勢を伝える通信手段であった烽燧(ポンス)は、韓国の各地に設置されましたが、その全国各地の烽燧からの知らせが集まってくるのがこの場所でした。
南山の山頂から白凡広場に下る途中の中腹あたり、南山ケーブルカー(ロープウエイ)が近くを通る場所には蚕頭峰(チャムドゥボン)フォトアイランド展望台があります。ソウルの街並みがよく見えるこの展望台はソウルの隠れた名所になっています。南山山頂とは異なり、手に取るように間近にソウル中心部の光景を眺めることができ、ここをバックに写真を撮ればソウルの素晴らしい思い出の一枚となることでしょう。
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※上記の内容は2021年4月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。