2022/09/22
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韓国でキンパプといえばトッポッキとともに手軽に食べられる韓国を代表する軽食のひとつ。巻き簾(す)の上に海苔を敷いてご飯や細長く切った玉子焼きなどをのせて巻くお馴染みの定番キンパプから、ツナ・プルコギ・とんかつなど様々な食材を巻いて作るキンパプまでその種類も多種多様です。
今年に入って韓国のケーブルテレビのみならずNetflixを通じて世界配信され人気を博したドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENA・2022年)(原題:不思議な弁護士ウ・ヨンウ)でも主人公の弁護士ウ・ヨンウがいつもキンパプを食べていたことから、近頃ふたたびキンパプに注目が集まっています。
今回は韓国を旅しながら他ではちょっと味わえない美味しくて変わり種のキンパプご紹介したいと思います。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で主人公ウ・ヨンウの父親が男手一人で娘を育てるため司法試験を諦め生活の糧を得るべく始めたキンパプのお店「ウ・ヨンウキンパプ」。ドラマでも度々登場するこのシーンが撮影されたのは、ソウルから電車に揺られて1時間ほど南に下ったところにある京畿道(キョンギド)水原(スウォン)にある飲食店。
ドラマ撮影当時「かざぐるま」という屋号の日本食のお店として営業していましたがその後閉店し、現在ではドラマ同様キムパプの店に変身、「ソホキンパ」(ソホキンパプ)という屋号で営業しています。お店の名前は変われど、ドラマに登場した黄色い軒先のテントなど店構えはほとんど同じで、お店の大きなウィンドウの端には「ウ・ヨンウキンパプ」と看板が置かれ、いまでもお店の前で主人公と同じポーズを取って記念撮影する人々が絶えません。
またドラマの中で一番の親友トングラミがウ・ヨンウに作った「四角キンパプ」は誰でも簡単に作れる一品。大きな海苔を四つのエリアに分けてご飯や卵焼き、炒めキムチ(ポックムキムチ)などをのせて、海苔の一部に切り込みを入れて折りたたむと簡単に四角いキンパプができます。日本でも度々テレビでその作り方が紹介されていますが、意外と簡単にできるので一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
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☞『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』ロケ地「ウ・ヨンウキンパプ」:
キンパプといえばいろんな具を入れて巻き簾で巻くというのが定番ですが、この忠武(チュンム)キンパプは何も具を入れない海苔巻き。海苔で白いご飯を巻き親指ぐらいの太さのミニサイズのキンパプで、付け添えに大根のキムチやイカの和え物と一緒に食べるスタイルのキンパプです。
1955年から1995年まで現在の統営市の一部は韓国の歴史に名立たる将軍・李舜臣(イ・スンシン)が活躍した地にあやかってその李舜臣の号「忠武」から命名し忠武市と言われていました。その当時、船で出港し沖で仕事をする人々が暑い日でもすぐに傷まないよう具を入れないで作ったのがこのキンパプの始まりで、次第に忠武キンパプと呼ばれるようになりました。現在では統営の名物グルメとなり観光客に大人気です。慶尚南道統営市にある江口岸(カングアン)と呼ばれる港の近くには忠武キンパプのお店が軒を連ねています。
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忠武キンパプ
韓半島の南に浮かぶ島・済州島(チェジュド)では海の幸がいっぱいのフュージョンキンパプがいま人気でブームとなっています。済州道内で数多くの店舗を展開する「済州金万福(キムマンボク)」ではアワビの肝などと一緒に炊き込んだご飯で作る「マンボギネキンパプ(만복이네 김밥・マンボクさんちのキンパプ)」が人気。アワビの香り豊かな炊き込みご飯に柔らかな食感の厚焼き玉子を挟んで海苔で巻いたマンボギネキンパプは淡白な味わいで柔らかな食感で、年齢を問わずどなたでも美味しく頂けるキンパプです。
済州北部の咸徳(ハムドク)海水浴場の近くにある「海女キンパプ」は、済州で水揚げされたタクセウ(딱새우)と呼ばれるミナミアカザエビを巻いたキンパプ・タクセウキンパプやヒジキの入って真っ黒なキンパプ・海女キンパプなど済州ならではのキンパプが食べられるお店として有名です。
またさんまの塩焼きを一匹まるごと使った「ウジョン刺身センター(우정회센터)」のサンマキンパプ(꽁치김밥)も済州ならではのキンパプで、そのビジュアルから人気の一品となっています。
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済州ならではのキンパプ
仏国寺、石窟庵などユネスコ世界文化遺産が数多くある新羅の古都・慶州(キョンジュ)。海外からの観光客も数多く訪れる国際観光都市として知られる慶州ですが、この地で開業して50年以上の歴史を持つ老舗のキンパプ屋さんがあります。それは校里(キョリ)キンパプ。
慶州グルメの定番コースにもなっているほどのお店で、このお店のキンパプは薄く焼き上げた錦糸卵がたくさん中にはいっているのが特徴。錦糸卵がいっぱいでその香ばしさと柔らかな食感が絶妙なハーモニーを奏でます。ちなみにメニューはこのキンパプと温かい素麺のようなチャンチククスの二品のみです。
慶尚南道(キョンサンナムド)昌原(チャンウォン)で50年以上もの歴史を持つ老舗「倉洞粉食(チャンドンプンシク)」は韓国では珍しい干ぴょうが入ったキンパプ。韓国でも昔から食材として使われてきた干ぴょうを醤油煮にして巻いたものです。干ぴょうは植物繊維が豊富で老化を防ぐ成分も入っていることとしても知られるヘルシーな食品なので、食に気を付けている方にもおすすめ。キンパプの具には干ぴょう、卵焼き、ほうれん草だけと至ってシンプルですが、一緒に出される醤油だれにつけて食べると味わいも増します。温かな鍋焼きうどんとともに食べれば最高です!
国立現代美術館ソウル館の裏手の路地を入ったところにある「朝鮮(チョソン)キンパプ」はメニューが至ってシンプルで、キンパプは食材本来の香りが素晴らしいナムルを巻いた朝鮮キンパプと、平たい揚げかまぼこが入りワサビでアクセントを加えたオデンキンパプの二品のみ。ナムルは様々な旬の野菜を用いて作る韓国ならではの料理で、健康食としても人気があります。この朝鮮キンパプにはナムルがたくさん入っているので大変ヘルシーで野菜の深い味わいが感じられます。またオデンキンパプはワサビのツンとした味わいが魅力の一品でこちらも人気のキンパプ。 韓国の味噌・テンジャンで味付けした汁に素麺を入れ陶器の鍋でぐつぐつと煮る麺・朝鮮ククシもあり、キンパプと一緒に食べると絶品です。
テレビでも度々紹介されソウルにあるキンパプ屋さんの中でも人気なのがここ、「方背(パンベ)キンパプ」。お店の屋号がそのままキンパプの名前になっている店一番の人気メニュー「方背キンパプ」は、普通キンパプに入っているボンレスハムの代わりに、醤油で甘辛く煮詰めた油揚げを入れるのが特徴。従来のキンパプのスタイルは踏襲しつつも甘辛い油揚げがポイントとなり、この店ならではの味を醸し出しています。ごぼうキンパプ、ツナキンパプ、チーズキンパプ、キムチキンパプなどメニューも豊富で、お好きなキンパプを味わうことができます。
釜山にある「影島海女村(ヨンドヘニョチョン)」は、釜山の海が目の前に見える景色の素晴らしいところでキンパプが味わえるという素敵なお店。海女村というだけあって目の前の釜山の海から水揚げされたばかりの新鮮な海の幸を味わえますが、中でもここでしか食べることができないスペシャルなキンパプも味わえます。それは海女さんが海で取って来たばかりのウニをキンパプの上にのせて食べる「ウニキンパプ」!その味わいはお口の中に磯の香りが広がり何とも言えない最高の味。
またキンパプにつきものといえばインスタントラーメンですが、これもお願いすれば作ってもらえますので、釜山の浜辺でウニやラーメンととともに最高のキンパプを味わってみるのもいいかもしれません。
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影島海女村(영도해녀촌)
※上記の内容は2022年9月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。