2022/02/07
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皆さんは観光で韓国を訪れた時、お寺巡りをしたことがあるでしょうか。韓国のお寺は山深いところにあることが多いこともあって、境内を歩いているとどこか長閑(のどか)で物静かな雰囲気を感じます。
自らの本質を求め修行に勤しむ、様々なしがらみにがんじがらめとなった俗世から距離を置く、そんな象徴ともいえるお寺。境内を見て回り韓国のお寺の雰囲気を感じるというのもいいものですが、少し時間的に余裕があれば宿坊で寝起きをして様々な仏教体験ができるテンプルステイに参加してみるのはいかがでしょうか。
今回は、美しい自然に囲まれ物静かな雰囲気の中でこころのゆとりを取り戻せるテンプルステイを実施しているおすすめのお寺3か所をご紹介したいと思います。
※コロナウイルス感染症-19感染拡大防止のため社会的距離の確保の段階によっては、テンプルステイのプログラムが行われない場合もございます。ご利用ご希望の際には予め公式ホームページや電話問い合わせ等で最新情報をご確認頂きますようお願いします。
ソウル特別市鐘路区(チョンノグ)にある金仙寺(クムソンサ)はソウル中心部に近く、気軽に訪れることができるお寺。バスに乗ってすぐに行くことができることから、テンプルステイをはじめ、散歩がてらハイキング気分で訪れる人も多い人気のお寺です。金仙寺の近くには景福宮、北村韓屋村、青瓦台などさまざまな観光名所がありテンプルステイとともに観光もお楽しみいただけます。
ソウル中心部から金仙寺まではバスに乗車。最寄りのバス停からお寺までは上り坂を20分ほど歩いていきますが、そんな歩みもテンプルステイへの第一歩と思えば気持ちもワクワクしてきます。道の途中には案内板が随所にあるので迷わず目的地までたどり着くことができます。テンプルステイ前にちょっとトレッキングといった感じで、テンプルステイの看板が見えたら、もうすぐそこです。
金仙寺をはじめ1泊2日のテンプルステイの場合、通常、午後3時ごろから翌日の昼食時間帯までのおよそ20時間プログラムが行われます。宿坊にはプログラムが始まる時刻より早めに到着して、割り当てられた部屋で修行服に着替え、時間まで境内を散策してみましょう。テンプルステイに参加する人以外は入れない特別な場所もあり、だれもいない静かなお寺の雰囲気を満喫できます。
プログラム開始の時刻になるといよいよテンプルステイの始まりです。寺の僧侶の案内でテンプルステイの参加者はおよそ50分間境内を散策、その後、韓国仏教に関する基礎知識やテンプルステイについての簡単な講義を聴きます。
テンプルステイではさまざまな仏教体験がでますが、ここ金仙寺では鉢盂供養、数珠作り、蓮の花を模した提灯作り、百八拝体験など、さまざまなプログラムが行われます。
一日のすべての日課が終わると提供される寺の食事・供養は、一般のお店で食べる料理にはない素朴な味わいで、テンプルステイならではの醍醐味でもあります。自分で食べられる分量だけお皿に取り分け、食事が終わったら自ら使った食器も洗い、一連の供養が終わります。供養の間は終始しゃべらず、ただ黙々と料理を口に運ぶ、そんな普段は体験できないこともこころの癒しになります。また寺の境内で栽培している新鮮な野菜だけを食材にしているので、菜食主義の方も安心して食事ができます。
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仁川ウェルネス観光10選に選ばれた仁川広域市の江華島(カンファド)にある伝灯寺(チョンドゥンサ)はソウルからバスを乗り継いで1時間台で行くことができる名刹。燕尾亭(ヨンミジョン)、東幕(トンマク)海岸など江華島の名所・旧跡にも近くソウル首都圏から多くの観光客が訪れる人気の場所です。特に韓半島の西・西海(ソヘ)に浮かぶ島だけあって幻想的な夕焼けの風景も眺められる場所としても有名です。
最寄りのバス停から伝灯寺の入口・東門まではおよそ600mほど。様々なの木々が植えられた寺へと続く道は、四季折々の風景が魅力的で、特に秋の紅葉は大変美しいと定評があります。
ここ伝灯寺でもテンプルステイを実施しており、1泊2日のプログラムがあります。まずお寺に到着したら諸手続きを行い、その後、境内をぐるっと巡るガイドツアーがありますが、それ以外は自由時間で伝灯寺の境内を気の向くまま散歩したり自分だけの時間を楽しむことができます。
由緒ある名刹だけあって宝物など国家登録文化遺産も数多く、本堂にあたる大雄殿をはじめ薬師殿など伝灯寺の歴史を感じる建物が軒を連ねています。近くには樹齢400年を超えるという大きなケヤキの木もあり、近くのベンチに座り悠久の歴史に思いを馳せてながら憩いのひと時を過ごすのもいいかもしれません。
テンプルステイに参加する方だけではなく、伝灯寺を参拝にやって来た方も利用できる素晴らしいカフェが境内にあります。それは境内の木々の間にひっそりと佇む竹林茶園。窓から差し込む陽射しが韓屋の内部を明るく照らし、垂木がむき出しになった天井を覆うように掛けられた淡い色彩の布・ポジャギのインテリアが窓越しの外の風景を相まって韓国ならではの素晴らしい光景となっています。韓国の伝統茶や茶菓子を嗜みながら静かな山寺の茶屋で憩いのひと時を過ごす、そんな過ごし方もいいかもしれません。ちなみにテンプルステイに参加される方には1000ウォンの割引クーポンがもらえますのでお見逃しなく。
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全北特別自治道(チョンブク特別自治道)高敞(コチャン)にある禅雲寺(ソヌンサ/ソンウンサ)は紅葉の名所としてられている場所。禅雲寺は首都ソウルから電車やバスなどを乗り継いで4時間から5時間ほどかかる人里離れた自然の素晴らしい場所にあるお寺で、ツバキやサクラ、ヒガンバナなどの四季折々の花々が美しい寺として有名です。
禅雲寺を訪れる人々が必ずカメラを構える場所といえばここ、寺の横にある兜率渓谷を流れる禅雲川に架かる石橋で、禅雲寺の天王門前にある極楽橋の風景。秋になるとアーチ型のフォルムが美しい極楽橋の周囲は紅葉で彩られ、素晴らしい風景となります。
テンプルステイが始まるしばしの間、川のせせらぎに耳を傾けていると、不安な気持ちも次第に落ち着いてきます。
四季折々さまざまな姿を見せる禅雲寺の風景は、大都会では感じることができない感動を訪れる人々に与えます。特に禅雲寺がある全北特別自治道(チョンブク特別自治道)高敞は秋の紅葉をはじめ、初春のツバキの花、晩春から初夏にかけての青麦畑や茶畑、真夏のヒマワリなど一年を通じて素晴らしい風景となるところで、テンプルステイだけではなく高敞の自然もあわせて観て回ることをおすすめします。
禅雲寺はテンプルステイだけではなく、登山でも有名なところで、寺の後に聳える禅雲山の登山コースもおすすめです。天馬峰(チョンマボン)へ登っていく道すがらには、紅葉の風景が美しい兜率庵(トソルアム)や果てしなく続く茶畑など空気のきれいな高敞の自然を満喫できるところが随所にあります。
テンプルステイで大切なことは「したいことはする、したくないことはしない」。日頃の心配事はすべて忘れてお寺でゆっくり過ごす、そんな時間も現代のわれわれには必要なことかもしれません。
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※上記の内容は2021年11月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。
※本コラムは大韓民国代表旅行チャンネル・TRAVELHOLICキム・ジヨン(JOLLY KIM)氏の文章および写真をもとに翻訳・構成したものです。