瓦屋根の曲線美が印象的で、木のぬくもりが感じられる韓国の伝統建築、韓屋（ハノク）。
いま韓国ではこの韓屋に現代風のインテリアを施し、お洒落にリモデリングした韓屋カフェが新たに続々とオープン、自然に囲まれた韓屋で一杯の珈琲を味わいながら風流を愉しむ、そんな優雅なひとときを過ごす人々が急増中しています！
ほのかな木の香りが感じられる昔ながらの佇まいの韓屋で、軒下に滴り落ちる雨音に耳を傾けながら、大きな額縁を彷彿とさせる窓の向こうに広がる素晴らしい中庭の風景を眺め、憩いの時間を過ごす。今回はそんな至福のひとときをお楽しみ頂ける、オープンしたての韓屋カフェ7か所をご紹介したいと思います。

ソウル ┃ トゥマリ

トゥマリ（TEUMARI）は、朝鮮王朝の歴代の国王と王妃の位牌が祀られている王室の廟で世界遺産にも登録されている宗廟（チョンミョ）の西側の塀伝いに続く道・西巡邏（ソスルラ）キル沿いにある韓屋カフェ。三階建て構造のお店で、韓屋の屋根の上に増築された三階に当たるルーフトップからは、隣りの宗廟の素晴らしい景色を眺めることができます。

このお店の推しPOINT！┃ 朝鮮時代の庶民の家屋をリモデリングしたトゥマリ。昔ながらの韓屋の躯体はそのままに、韓屋の屋根の上にさらに鉄骨を組みルーフトップスペースを増築し、隣りにある宗廟の風景が一望できる「宗廟ビュー」が自慢。宗廟との境にある西巡邏キル沿いの石塀の向こうに生い茂る霊験あらたかな木々の間からは美しい祀堂の姿が見えます。

ドリンク＆デザート┃ トゥマリの珈琲はすべて、いま流行のエスプレッソマシーンではなくハンドドリップで淹れたもの。珈琲以外にもビールやワインもあります。チーズケーキやワインプラッターもあるので、お好きな飲み物とともに憩いのひと時を。

京畿道・平沢 ┃ 寺利堂

窓越しに自然の風景が広がる「借景」の美を実感できる韓屋カフェ

このお店の推しPOINT！┃ 一族が5代にわたって暮らしてきた韓屋の古宅をリモデリングしてオープンした京畿道（キョンギド）平沢（ピョンテク）にある寺利堂（サリダン）。
韓屋には「借景（チャギョン）」という概念があり、家屋の戸や窓を額に見立て外の風景を楽しむ風習があります。寺利堂の韓屋の建物には四方に大きな窓があり窓越しに外の風景が眺められるように座席が配置、風景画のように美しい、刻一刻と変化する自然の風景をお楽しみ頂けます。

ドリンク＆デザート┃ 薬菓（ヤックァ）やチュアクといった韓国伝統菓子を味わうことができます。若手の農業経営者でカフェのオーナーでもある店主が自ら栽培した農産物や地元の特産品を食材に、真心こめて作ったメニューが自慢のお店です。

江原特別自治道江陵 ┃ クリウニ

江陵を観光スポット・草堂（チョダン）スンドゥブ村の近くにある、デザートスポットとして完璧なまでの条件を兼ね備えた韓屋カフェ

このお店の推しPOINT！┃ 軒反りの柔らかな曲線が印象的で、昔ながらの古風な趣を生かしつつ現代の暮らしに即した構造となっている韓屋・改良韓屋（ケリャンハノク）。江原（カンウォン）特別自治道江陵（カンヌン）にオープンしたクリウニは、そんな改良韓屋の中にあるカフェです。
縁側にも小さな卓があり、軒下で韓屋の素晴らしさを満喫できます。ひとしきり夕立ちの雨が降ってきても絵になる、そんな心地よい場所がここクリウニです。

ドリンク＆デザート┃ 濃い目のエスプレッソコーヒーに地元の名物豆腐・草堂（チョダン）スンドゥブで作った豆腐クリームがトッピングされたスンドゥブコーヒーが人気。

忠清北道・清州 ┃ 人文アーカイブ・養林＆Cafe Humanitas

人文系書籍3万冊以上を所蔵するアーカイブに併設する図書館のような大型韓屋ブックカフェ

このお店の推しPOINT！┃ 本と木の香り漂う三階建ての大きな韓屋。伝統と現代がマッチしたこの建物は人文アーカイブ・養林（ヤンリム）の建物。地上3階分と地下1階の半分を人文系の書籍3万冊以上を所蔵するアーカイブとして利用、地下1階の残りの半分にブックカフェを併設しています。
コンクリートの壁に囲まれた地下1階の入口にまっすぐ続く通路は、韓屋の建物とは相反する、あたかも現代美術館のような面持ち。地下1階に入ると、伝統木造建築に見られる軒を支えるため柱の上部に取り付ける木組・栱包（コンポ）を彷彿とされる木造のオブジェが来場者を出迎え、韓国伝統建築の格調の高さを実感します。韓屋の欄干越しから眺める住鳳（チュボン）貯水池の水面を覆う蓮の葉の光景は、言葉に尽くしがたい素晴らさです。

ドリンク＆デザート┃ 済州産抹茶と韓国産蓮の葉パウダーがブレンドされた「蓮の葉シュペナー（연잎슈페너）」が人気。抹茶ラテの味わいに蓮の葉のかすかに苦みばしった後味があり好評を博しています。

大邱 ┃ 妙雲

伝統韓屋の美しさと趣をいまに伝える韓屋カフェ

このお店の推しPOINT！┃ 朝鮮時代の支配階層・両班（ヤンバン）がどんな韓屋に住んでいたのか興味津津な方にぜひおすすめしたい韓屋カフェのがここ、大邱（テグ）広域市にある妙雲（ミョウン）。
数百年の歴史を誇るこの両班の家屋が今年初め韓屋カフェとしてオープン、あまり日は経っていませんが既に大邱のホットプレイスとして注目を集めています。カフェのあちらこちらには陶磁器、筆、書籍などが置かれ、古の時代の雰囲気あふれる空間となっています。また離れとなっている忠孝堂（チュンヒョダン）も朝鮮時代を物語る韓国的な雰囲気の建物として人気です。

ドリンク＆デザート┃ コーンチーズ切餅・蒸し餅ケーキ・ヌルンジ（おこげ）フィナンシェなど韓食の要素を加えたK-デザートが人気。韓食の匠の監修しており、味わいも見た目も最高です。

全羅南道・潭陽 ┃ スルダム

「憩い」そのもの。空気がきれいな潭陽の物静かな村に佇む感性あふれる韓屋カフェ

このお店の推しPOINT！┃ 故郷へ戻ってきた若い夫婦が築50年ほどの韓屋の建物を譲り受け、自ら草むしりからはじめ、煉瓦を運び込み、精魂込めて作り上げたスペースがここ、全羅南道（チョンラナムド）潭陽（タミャン）にあるスルダム（Seuldam）。ここが築50年の古い韓屋だったことを忘れてしまうほど真新しい木目の美しい室内は心も癒される雰囲気の場所です。

ドリンク＆デザート┃ 自然豊かで空気がきれいなここ潭陽にふさわしく、春にはオレンジ、夏にはスイカ、冬には潭陽イチゴなど旬の生の果物を絞って作った糖度の高いフルーツジュースをお楽しみいただけます。自然豊かな潭陽で育った花で作ったフラワーティーも香り高く人気です。

釜山 ┃ トブクベーカリー

国が認める匠が作るパンが味わえる韓屋ベーカリーカフェ

このお店の推しPOINT！ ┃ 瓦葺きで垂木の先端の小口が白く塗られた姿が美しいこの大きな二階建ての韓屋のお店は、屋号の由来となったウサギ（トッキ＝토끼）と亀（コブギ＝거북이）の甲羅のデザインのマークが印象的な釜山広域市にあるトブクベーカーリー（토북베이커리）。大きな窓の向こうには美しい庭が広がり、外の美しい風景を眺めながら「大韓民国名匠」が作る美味しいパンやデザートをお楽しみ頂けます。

ドリンク＆デザート ┃ 各界で最高レベルの熟練技術を保有する技術者・職人に与えられる国認定の制度「大韓民国名匠」。製菓・製パン分野では韓国で15人しかいない名匠の一人、キム・ドッキュ氏が焼き上げるパンだけあって「どのパンを食べても最高」と評判のパンばかり。中でも塩パン（ソグムパン）やお店の名前が付いたトブクパン、ガーリッククリームパンが大人気。

※上記の内容は2023年2月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。