2025/09/16
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さまざまな韓国の名節料理(写真:韓国観光公社PHOTO KOREA-Toraii REPUBLIC)
旧暦8月15日の秋夕(チュソク)、旧暦1月1日のソルナル…日本の「節句」に当たる韓国の名節(ミョンジョル)の時期には、家族みんなが集まり、名節ならではの料理を作って先祖を祀る祭壇にお供えする文化があります。名節料理は単に料理というだけにとどまらず、家族総出で料理を作り、家族の絆を改めて実感させてくれるそんな料理でもあります。また、実りの秋への感謝、長寿祈願、財物に恵まれ豊かになるよう、それぞれの料理に、様々な思いを込めているという点でも意義深いものがあります。
今回は秋夕を目前に控え、韓国の名節の時期に韓国の人々が食する様々な料理をご紹介したいと思います。
煎の盛り合わせ・モドゥムジョン(写真:Gettys Image Bank)


キムチジョン(写真:クリップアートコリア)/麻浦煎通り(写真:クリップアートコリア)
韓国では秋夕や旧暦1月1日の旧正月・ソルナルになると様々な種類の煎(チョン/ジョン=チヂミ、プチムゲ、プッチムゲ)を作ります。煎は煎専用の粉・プチムカルを水で溶き、具材に溶き粉をまぶして焼いたり、または溶き粉の中に具材を入れてホットケーキのようにして焼いて作ります。
秋夕やソルナルなど名節の時期には様々な具材の煎を作りますが、中でも代表的なものは、キムチジョン・ヘムルパジョン(海鮮とねぎのチヂミ)・トンテジョン(スケトウダラのチヂミ)・コギワンジャジョン(豚肉団子のチヂミ)・ノクトゥジョン(緑豆のチヂミ)などがあり、食卓にはいろいろな煎を大皿に盛り合わせてモドゥムジョンとして出されます。
名節の時期以外に煎を食べたい方は、美味しい煎が食べられるお店が軒を連ねる「ジョンコルモク」(煎通り)がおすすめ。
ソウル地下鉄1号線回基(フェギ)駅前交差点の南のエリアにある回基駅パジョン通り(회기역파전골목)は、さまざまな海の幸やねぎをふんだんに使い焼き上げたヘムルパジョンで有名です。
また、ソウル地下鉄5・6号線や空港鉄道・KORAIL京義中央線の乗換駅となっている孔徳(コンドク)駅のそばには麻浦煎通り(마포전골목)があり、さまざまな種類の煎や揚げ物などが手ごろな値段で食べられ、いつも多くの人々で賑わっています。
「韓国地図」で確認!おすすめソウルの「ジョンコルモク」(煎通り)
チャプチェ(写真:Gettys Image Bank)


様々な食材で作るチャプチェ(写真:Gettys Image Bank)/ご飯の上にチャプチェをのせて丼物風に食べるチャプチェトッパプ(写真:クリップアートコリア)
歴代の朝鮮時代の国王も好んで食べたと言われるチャプチェ。名節やお祝いの席にはなくてはならない料理です。漢字で書くと「雑菜」となりますが、文字通りいろんな野菜がいっぱい入った料理で、千切りにした人参やシイタケ・タマネギなど様々な野菜や細切りの肉を炒めておき、サツマイモなどの澱粉で作った麺で日本の春雨を太くしたようなタンミョン(唐麺)を水で戻し茹でた上で、予め炒めておいた野菜と肉を加え、醤油などの調味料で味付けし調理します。チャプチェは一見簡単に作れるように見えますが、チャプチェに入れる具材は下茹でしたり軽く炒めたりして下準備する必要があり、意外と手がかかる料理です。
名節の時期には家族・親戚一同集まって食事をすることが多く、料理をたくさん作ってもてなしますが、どうしても料理が残ってしまいがちです。そんなときでもチャプチェは、あったかなご飯の上にかけて食べれば、どんぶり風の美味しいチャプチェトッパプに大変身。
また、チャプチェ好きの方は、海外の方に近ごろ大人気の市場・広蔵市場などの伝統市場の屋台に行けば、お手ごろな値段でおなか一杯チャプチェを食べられますので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
カルビチム(写真:クリップアートコリア)


高級感あふれるカルビチム(写真:クリップアートコリア)/ ピリ辛風味のメウンカルビチム(写真:Gettys Image Bank)
老若男女問わず人気の韓国伝統の料理といえば、ばら肉をじっくり煮込んだカルビチム。名節やお祝いなど特別な日に食卓に上る肉料理です。
単にカルビチムといえば牛のばら肉を煮込んだもので、大きめに切ったばら肉にダイコンやニンジンの乱切り、皮をむいたクリや甘いナツメなどを加え、醤油をベースに味付けし、コトコトと肉が柔らかくなるまでゆっくりと煮込みます。
肉を水につけて血や臭みを抜くなど煮込む前の下準備に時間がかかるため、日頃、何かと忙しい家庭では作ることも少ないですが、名節やお祝いの時にはよく作る料理です。
また、韓国南西部の大都市で東京(成田)・大阪(関西)・福岡からも直行便が就航している大邱(テグ)には、コチュジャンやコチュカル・唐辛子粉で味付けをしたピリ辛のカルビチム・メウンチムカルビ(매운 찜갈비)もありますので、大邱を訪れる機会があれば、地元名物のメウンチムカルビを食べてみてはいかがでしょうか(大邱メウンチムカルビの詳細はこちらのコラム『韓国グルメは地方から!韓国絶品グルメ30選・その3~慶尚・大邱・釜山編~』を参照)。
様々な野菜で作ったナムル(写真:クリップアートコリア)


三色ナムル(写真:クリップアートコリア)/ビビンバ(写真:クリップアートコリア)
ナムルは様々な野菜や山菜を茹でて味付けをし和えた韓国のおかずのひとつ。
秋夕などの名節の時期には、主に「トラジ」と言われるキキョウ(桔梗)の根っこや、ゼンマイ、ホウレンソウで、見た目にも美味しい三色(サムセク)ナムルを作ります。
白い色のナムルは祖先を、茶色のナムルは両親を、緑色のナムルは自分自身を含む子孫を意味しており、代々の安寧を祈願する意味合いから三つの色のナムルを作ります。三つそれぞれのナムルは自然そのものの味わいと食感を生かし調理し、色合いも鮮やかで、秋夕の茶礼のお供え・茶礼床(チャレサン)に彩りを与えます。
ご先祖様へ感謝を込めた茶礼の儀式が終わると、お供えをしたご飯やナムルはコチュジャンやごま油を加えてビビンバにして食べることもあります。
色とりどりの五色の加薬(かやく)が食欲をそそるトックク(写真:Gettys Image Bank)


トックク(写真:Gettys Image Bank)/トクマンドゥクク(写真:Gettys Image Bank)
韓国の人々はソルナルになると、新年の願いを祈り、目上の人に新年のあいさつ・歳拝(セベ)を行い、家族一緒にトッククを食べます。
地方によって多少の違いはありますが、一般的には牛肉の出汁に長く細い餅・カレトクを楕円の形に薄く切った餅を入れて煮込み器に盛り、最後に錦糸卵や刻み海苔など加薬(かやく)を加え、見た目にも食欲をそそるトッククが完成します。
真っ白な餅は、万物が新たに始まる日に一点の曇りもないまっさらな状態でなければならないことを象徴しており、またトッククに入る餅・カレトクは長く細いことから長寿を、そして餅を切った形は小銭のような形をしていることからお金に困らず裕福になるよう、それぞれ願いが込められています。
そんな思いが込められたトックク、韓国の人々がソルナルの日によく「トッククをまたもう一杯食べた」と語るのは、数え年で歳をまた一つとったという意味でもあります。
韓菓とシッケ(写真:クリップアートコリア)


様々な韓菓(写真:クリップアートコリア)/韓菓と伝統茶(写真:クリップアートコリア)
韓菓(ハングァ)は韓国の伝統的な菓子を指す名称で、菓飣類(クァジョンニュ)とも言われます。
水あめや蜂蜜で甘みをつけ、もち米・豆・胡麻などの穀物やナッツ類を主に使って作ります。柔らかくふわっとした食感の油菓(ユグァ)、小麦粉を練り型を取り油で揚げ蜂蜜で甘くした薬菓(ヤックァ)、香ばしくサクッとした食感が魅力のカンジョンなど種類も多種多様。
韓菓は色鮮やかで見た目にも美しい形をしているのが特徴で、水正果(スジョングァ)やシッケといった韓国伝統の飲み物のお茶請けにもぴったりです。
これまで昔からある伝統市場でよく見かける菓子というイメージがありましたが、最近では若い人や海外からの旅行客にも人気で、デパートやお土産屋さんでもよく見かけるようになりましたので、韓国の旅の土産物にひとつ、いかがでしょうか(☞関連リンク:甘くて幸せな味、スイーツ&ドリンク)。
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* 上記の内容は2025年9月現在の情報です。今後変更されることがありますのでお出かけ前に必ずご確認ください。